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疲労時の長風呂

旬のもの 2024.12.05

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疲れたとき、湯船にゆっくり浸かって疲れを癒そうと思うのは自然なことです。心も体もリラックスできるし、一日の締めくくりとして最高ですよね。でも、「疲れているときの長風呂」にはちょっと注意が必要です。疲れを癒したいと思って入ったはずのお風呂で、逆に疲れを悪化させてしまうこともあるんです。

中医学では「気」という体のエネルギーがとても大切だと考えます。この「気」は血液や体の水分を巡らせる原動力でもあり、生命活動を支えるエネルギーそのものです。疲れているときは、この気が不足している状態、「気虚(ききょ)」に陥っていることが多い。そんなときに長風呂をすると、汗と一緒に体の中の気が外に出ていってしまうんです。結果として、体がさらにエネルギーを失い、疲れが取れるどころか逆に増してしまうことがあるんです。

長風呂で疲れが増す理由

お湯に浸かると体が温まり、血流が促進されます。それ自体は悪いことではありません。でも、体が温まることで汗がたくさん出ますよね。中医学では、汗は「気」を伴って外に出ているものと考えます。つまり、汗をかけばかくほど、体のエネルギーが減ってしまうんです。

特に、疲れがたまっているときの体はすでに気が不足している状態です。その状態でさらに気を消耗してしまうと、体力の回復が追いつかなくなります。長風呂のあとに「なんだか余計にだるい」と感じた経験がある人もいるのではないでしょうか? それはまさに、気が消耗しすぎてしまったサインなんです。

疲労時の正しい入浴法

疲れているときこそ、入浴の仕方には気をつけたいところ。ポイントは「短め」「ぬるめ」「負担をかけない」の3つです。以下のような入浴法を取り入れると、体に優しく疲れを癒すことができます。

1. 入浴時間は10〜15分までにする

長風呂をすると汗が出すぎて気が消耗します。疲れているときは特に短めの入浴を心がけましょう。「少し物足りないかな?」くらいで切り上げるのがちょうどいいんです。

2. お湯の温度は38〜40℃のぬるめに

熱いお湯は体に負担をかけやすく、かえって疲労を悪化させることがあります。ぬるめのお湯にゆったりと浸かり、血行を促しつつ体に負担をかけない方法がベストです。

3. 汗をかきすぎないようにする

汗をかきすぎると気がどんどん消耗します。汗ばむ程度で湯船から上がり、身体を冷やさないようにしましょう。

4. 入浴後は適度な水分補給を

お風呂上がりには、常温の水や白湯を少し飲んで、体の水分バランスを整えます。これは気と体液の巡りを助けるためにも大切な習慣です。

疲労が強いときの養生法

疲労が蓄積しているときは、入浴だけではなく、普段の生活全体で「気」を補い、整えることが必要です。以下のような養生法を取り入れてみましょう。

1. 気を補う食事を心がける

体のエネルギーとなる「気」を補うには、消化しやすく温かい食事がおすすめです。例えば、以下のような食材を意識して取り入れてみてください。

• 気を補う食材:お米、山芋/長芋、鶏肉、大豆
• 血を補う食材:レバー、黒ゴマ、なつめ、ほうれん草
• 体を温める食材:ショウガ、ネギ、かぼちゃ

疲れているときにはスープやお粥など、胃腸に優しい料理がおすすめです。

2. 睡眠をしっかり取る

気を補うためには質の良い睡眠が欠かせません。寝る前にスマホやパソコンの使用を控え、心を落ち着けてからベッドに入るようにしましょう。入浴を短めにすることで、寝る直前に体が温まりすぎず、ぐっすり眠ることができるはずです。

3. 軽く体をうごかし気の巡りを良くする

疲れているときでも、無理のない範囲で軽いストレッチや深呼吸をすると気の巡りが改善します。特に、体が重だるいときには効果的です。

まとめ

疲労時の長風呂は、かえって気を消耗させてしまい、疲労回復を妨げることがあります。短時間のぬるめの入浴を心がけ、体に優しい方法でリラックスしましょう。また、日常生活の中で気と血を補う食事や十分な睡眠を取り入れることで、体のエネルギーを整えることができます。

疲れているときこそ、体を酷使せず、優しくいたわること。それが、疲労を回復し、元気を取り戻すための第一歩です。長風呂で汗を流す代わりに、無理のない範囲で「養生」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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