今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

初音前線はつねぜんせん

旬のもの 2025.02.14

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

皆様は、日々の暮らしの中で、春の訪れをどのように感じるでしょうか?
暦を見ながら「そろそろ春だな」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、外に広がる自然の光景から、穏やかに春の知らせを受け取るという方も少なくないでしょう。
それは、梅の開花かもしれませんし、吹く風の柔らかさからかもしれません。

春の光景、春の香りや感触……いずれも、私たちの五感に春を届けてくれるわけですが、春の音について挙げられるのは「ホーホケキョ」でおなじみ、ウグイスの鳴き声なのではないでしょうか。

毎年最初に聞くウグイスの声を「初音(はつね)」と言うのですが、気象庁は全国各地でウグイスの鳴き声が観測された日を「鶯の初鳴日(しょめいび)」として、梅や桜の開花などとともに生物季節観測のひとつとしています。

そして、各地の記録を集めて地図上に可視化した「季節前線」の中でも、ウグイスの鳴き声の記録を「初音前線」と言います。

〇〇前線、桜前線は有名ですが、まさか鳥の鳴き声まであるとは驚きですよね。
自分の住んでいる地域で、ウグイスはどれくらいに初音を聞かせてくれるのか、ちょっと調べてみるのもおもしろいのではないでしょうか。
都心ではなかなか聞く機会が少ないかもしれませんが、ちょうど里山に足を運ぶことがあれば、運よくその声を耳にすることができるかもしれません。

ウグイスが盛んに鳴き始めるのは三月以降が多いようですが、早い場所では二月中旬頃にも、鳴き声が聞かれるようです。
あのように鳴くのは主に雄のウグイスで、雌への求愛行動として、一生懸命にアピールしています。生き物の世界で、春は恋の季節ですからね。

そういえば昔、私も早春にウグイスのさえずりを耳にしたことがありましたが、鳴き始めの頃にはちょっとかすれていたり、たどたどしかったりして、鳥にも歌の練習が必要なんだなぁ……と思った記憶があります。

ともあれ、日本に生息する野鳥の中でも、ウグイスは特にさえずりの美しい「日本三鳴鳥」に数えられています。
ウグイスの別名は、実はたくさんあるのをご存知でしょうか?

代表的なのは、その名も「春告鳥(はるつげどり)」。
日本人にとって、ウグイスは春の訪れを知らせてくれる身近な存在として親しまれてきたことを感じさせてくれます。

その他にも、花見鳥(はなみどり)、春鳥(はるどり)、歌詠鳥(うたよみどり)、初鶯(はつうぐいす)、報春鳥(ほうしゅんどり)、経読鳥(きょうよみどり)など、可愛らしい名前がたくさん。

この季節によく梅の枝にとまっていて、ウグイスと間違われやすいのは、目の周りが白くて体は美しい緑色のメジロ。
ウグイスはもう少し地味な見た目ではありますが、いずれにしても一生懸命に鳴いている姿は可愛らしいものです。
バードウォッチングで、その姿を追いかけてみるのもいいですね!

春を知らせてくれる、初音前線、今年はどんな形で全国を駆け抜けていくのでしょうか。
時には立ち止まって、ゆったりと、鳥のさえずりにも耳を傾けてみてくださいね。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

記事一覧

紺野 うみ|オフィシャルサイト