今日のお話は「ツクシ」です。
ツクシは植物のスギナの胞子茎です。春になると胞子を飛ばすために土の中から生えてきます。ツクシは田畑、川の土手、庭、道端の草むらなどあちこちで見かけることができます。

ツクシの花言葉は、空に向かってまっすぐに伸びることから「向上心」、突如現れ1日に1cm成長する早さから「意外」、「驚き」です。
ツクシの漢字は「土筆」。土に刺さった筆のような姿からきています。ちなみに英語では「horsetail(馬の尻尾)」です。
ツクシは春の味覚でもあります。佃煮、卵とじ、和え物、天ぷら、炊き込みご飯、椀物などに使われます。穂先からはほろ苦さ、茎からは甘みを感じさせてくれます。

水洗いした後、硬く食感が良くない茎に付いている袴と呼ばれる部分を取り除けば、穂先も茎も全部食べられます。アクが強いため、アク抜きの下処理をします。塩を入れた熱湯で数十秒茹でてから、数十分から1時間ほど水にさらしてからザルに上げて水切りします。
天ぷらの時はアク抜きしなくても良いです。
ツクシを見るたびに、小学生の時に祖母とツクシを摘んだことを思い出します。春休みには大阪から福岡に行き、祖母の家で過ごしていました。遠く離れて住んでいるため祖母と一緒に過ごすだけでも嬉しくて、散歩となるともっと嬉しくてたまりませんでした。
犀川という川の辺りを歩いていたら、たくさんツクシが生えていました。2人でポキポキと摘んだツクシを持ち帰り、叔母や母達と袴を取りました。祖母が作ってくれたツクシの佃煮と卵とじの味はツクシの風景と共に心の記憶に残っています。

あと子どもの頃からツクシの名前を知っているのが不思議でした。何処で覚えたのか記憶に無いのですが、ツクシの絵本で読んでもらったのか、保育園でツクシの絵を見たのかも知れません。
大人になってからは、ツクシを食べる機会がほとんどありません。以前働いていた市場でもツクシの入荷は少なくて、強いアクのために黒く変色しやすく、日持ちが短いために扱うのが難しい食材でした。注文が入ると、何処かの料理屋さんでツクシによって春の演出がされた料理を楽しまれるんだなぁと想像していました。
今年の春はまだツクシを見つけていませんが、突如現れるのがツクシなので見逃さないように暖かい日に歩いてみようと思います。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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