春が訪れると野菜売り場には、山菜、筍、豆、アスパラガス、春にんじんなど見ているだけで楽しくなる春野菜が並びます。
魚売り場でも、心が躍るような、旬を迎えた海の幸に出会えます。ホタルイカ、アサリ、サヨリ、桜海老、鰆に桜鯛などありますが、中でも1番小さな魚「しらす」が今日のお話です。

しらすはイワシ、ウナギ、アナゴ、アユなどの稚魚の総称ですが、主にしらすとして食べられているのはカタクチイワシなどのイワシの稚魚にあたります。
しらすの名前の由来は、色素がなく透明の生しらすを茹でると白くなることから「白子(しらす)」と呼ばれているそうです。鱈やフグの白子(しらこ)と同じ名前ですが食する部分が異なることから区別しやすいように、「しらす」か「シラス」で表記されています。

名前の由来はもう一つあり、江戸時代に始まった「畳しらす」に関わりがあります。「畳しらす」は、藁の上にしらすを並べて天日干しにして作られます。一面に広がる白いしらすが干されている光景が、奉行所などにある「白州(しらす)」と呼ばれていた白い砂利を敷き詰めた場所に似ていることからきているそうです。
また、鮮度を保つために、とれたしらすを氷で冷やすことから、魚偏に氷で「しらす」と呼ぶ地域もあるそうです。
色々なお話から、しらすは海に囲まれた日本の色々な地域で古くから食べられてきた歴史を感じさせてくれます。現在も「畳しらす」は作られており、軽く炙って食べます。熱々の「畳しらす」から磯の香りが漂ってくるようです。
しらすの旬は春と秋の2回あり、冬に産まれて成長した稚魚を「春しらす」、春に生まれて成長した稚魚を「秋しらす」と呼びます。
冬から春先の間は禁漁期にあたり、4月頃から禁漁明けとなります。 しらす漁で活気づく漁港へ生しらすや釜揚げしらすを買いに足を運んだり、周辺のお店で生しらす丼や釜揚げしらす丼に舌鼓を打ったりと「春しらす」を心待ちにされていた方々も少なからずいらっしゃるかと思います。今はネットでお取り寄せできるので家でも楽しめるようになりました。
私は近所のお店に買いに行きますが、生しらすの透き通る美しさに見惚れます。口に入れるとぷりっとした食感に繊細な甘みが広がりまです。

釜揚げしらすはふわふわの食感がたまりません。白ごはんの上に釜揚げ桜海老と大葉、卵の黄身と合わせると、しらすと桜えびの淡い紅白、大葉の緑、黄身の色合いが春の陽気を演出してくれます。
どちらもすりおろした生姜、レモンをシュッと絞り、醤油かポン酢をかけてシンプルにいただきます。

釜揚げしらすはパスタ料理にも使います。ペペロンチーノはニンニクと唐辛子、ジェノヴェーゼはバジルの風味がしらすのやわらかい甘みを引き立ててくれます。しらすの半量をソースと一緒にからめて、残りの半量は上に盛り付けています。
今日のレシピは簡単に出来る「釜揚げしらすのチーズ焼き」です。よかったら作ってみてください。
釜揚げしらすのチーズ焼き

材料
A
•釜揚げしらす 約80gから100g
•スライスチーズ 2枚(4等分に切ります)
•大葉 2から3枚(太めのに切ります)
•オリーブオイル 大さじ1
•片栗粉 大さじ1
お好みの野菜(入れなくても良いです)
•茹でたアスパラガス 2本から3本(4等分に切ります)
•ミニトマト3個から4個
薬味
•すりおろした生姜かにんにく 少量
作り方
①ボールにAの材料を入れて軽く混ぜ合わせます。
②テフロン加工のフライパンにオリーブオイルを大さじ1入れて軽く熱してから①の材料をのせて約2分ずつ中火で両面を焼いたら完成です。
ポイント
•しらすに塩分が含まれていますので塩は使わなくてもしっかり味がつきます。
•釜揚げしらすの代わりにしらす干しでもできます。しらす干しは釜揚げしらすより少し乾燥させたもので塩分が多いため、ザルに入れて熱湯を2回まわしかけたり、熱湯を入れたボールに5分ほどつけたりして塩抜きしてから使ってください。
•最近では減塩タイプのしらす干しが増えてきました。記載されている塩分量が100gあたり約2.5g以下でしたら塩抜きせずにそのまま調理できます。
•しらす干しは釜揚げしらすより比較的優しい価格で手に入りやすいです。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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