風薫る5月になりました。爽やかな新緑は心を和ませてくれます。
今日のお話は、料理に濃い緑で彩りを加えてくれる「いんげん豆」です。
名前の由来は諸説ありますが、一説には17世紀中期に隠元(いんげん)禅師が中国から日本へ持ち込んだことから付けられたのだそうです。
※実はふじ豆だったという説も。
また、豆が未熟の状態で収穫される若いさやから「さやいんげん豆」、一年に三度収穫できる地域では「三度豆」とも呼ばれています。
旬は初夏から秋にかけてですが、北は北海道から南は沖縄県まで、全国各地で栽培され、ほぼ一年を通してお店に並んでいます。
新鮮でやわらかそうないんげん豆を選ぶ時に見るべきポイントは、ピンと先までハリのある細めの形に艶やかな緑色の肌です。
いんげん豆の筋は、ヘタの部分を折って引くと取れますが、品種改良がすすみ、筋取りの下処理が要らない筋なしいんげん豆が増えてきました。
「板ずり」といって、まな板の上にいんげん豆を並べて、少し塩をかけて手で優しく転がすと、茹でた時により鮮やかな緑色に仕上がります。いんげん豆の茹で時間の目安は2分です。
いんげん豆はクセのない味で、胡麻和えの副菜、煮物やサラダの彩りなどにすると、シャキシャキとした食感とともに、優しい甘みが口の中でひろがります。他には炒め物や肉巻き、天ぷら、お弁当のおかずなど幅広い料理に使えます。
私は子供の頃から、母が作ってくれたいんげん豆を添えた肉じゃがが大好きでした。普段の肉じゃがは牛肉を使っていましたが、いんげん豆を添える時は鶏肉であっさりした味付けなので、いんげん豆の味が引き立っていました。
新じゃがいもと新玉ねぎのみずみずしい甘さとしっとりとした食感に、いんげん豆のシャキシャキ食感がたまらない味わいでした。
定番料理は、バジルと松の実、ニンニク、パルミジャーノチーズ、オリーブオイルをペーストにして作るジェノヴェーゼのパスタです。パスタを茹でている鍋にさいの目切りしたじゃがいもを入れて、茹で上がり前に一口サイズに切ったいんげん豆を入れます。いんげん豆とバジルとじゃがいもとパスタ、緑と白の組み合わせが綺麗で、夏になるとよく作ります。
今日のレシピは、この料理をアレンジした簡単なパスタサラダです。出来立ての熱々もよし、冷めてもよし。汗ばむ陽気にぴったりの料理です。よかったら作ってみてください。
いんげん豆とじゃがいもと大葉とベーコンのパスタサラダ
材料
•いんげん豆 100g
•じゃがいも 200g
•大葉 5枚
•ベーコン 50g
•オリーブオイル 大さじ2
•塩 適量
•胡椒 少々
•パスタ(茹で時間10分) 100g
作り方
①いんげん豆は板ずりした後、一口サイズに切ります。
②じゃがいもは大きめのさいの目切りにします。
③大葉は軽く水洗いした後、キッチンペーパーで水気を拭き取り、縦半分に切ります。重ねて巻いて千切りにします。
④ベーコンは一口サイズに切ります。
⑤熱湯に少ししょっぱく感じるくらいの塩を入れた鍋に、パスタとじゃがいもを入れて茹でます。茹で上がり2分前にいんげん豆とベーコンを加えます。
⑥ザルにあげて湯切りしたら、ボウルに入れてオリーブオイル大さじ1を入れて混ぜ合わせます。
⑦お皿に盛り、胡椒を少々、オリーブオイル大さじ1をかけて大葉を散らしたら完成です。
ポイント
•パスタは蝶々の形のショートパスタを使いました。ロングパスタの場合は半分に折って茹でてください。パスタの種類によって記載されている茹で時間が異なりますので、じゃがいもを茹でる時間の目安は10分にして入れるタイミングを調整してください。
•すりおろしたチーズをお好みでかけても美味しく召し上がっていただけます。
•すりおろしにんにくもお好みで入れてもよいですが、強い味が出ますので小さじ1/8ほどで。
•厚切りベーコンを使いましたが、薄切りベーコンでも良いです。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
