こんにちは。気象予報士の今井明子です。
雨が上がったあと、きれいに晴れれば、太陽と反対の方向に虹が出ることがあります。でも、雨上がりではない、最初から晴れている日に虹が出ることもあるのです。しかも、その虹はちょっと変わった形をしています。
太陽高度の高い3~9月のお昼ごろ、太陽の下を見てみると、短くてほぼ水平な虹が現れることがあります。これは環水平アークと呼ばれるものです。色は、太陽に近いほうが赤色で、地上に近いほうが紫色です。
環水平アークは、太陽のまわりに氷でできた薄雲(巻層雲)などが出ているときにできることが多いです。巻層雲は氷の粒でできています。太陽の光が氷の粒に当たり、屈折することで虹色に色が分かれるのです。
雲が出ているときにできるので、雲が色づいて見えることがあります。それで、同じように雲が色づく彩雲と混同されがちなのですが、彩雲とは少し違います。彩雲は、シャボン玉のような不規則な虹色をしているのですが、環水平アークは規則的な虹色なのです。
環水平アークは晴れているときや、薄曇りのときに出現しますが、薄雲が出ているということは、低気圧が近づいているということです。今後空の雲が分厚くなっていけば、天気は下り坂になり、雨が降るかもしれません。
太陽高度が高い季節ならではの珍しい虹色現象です。見つけると、彩雲と同様にちょっとうれしい気持ちになることでしょう。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
