こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
よく晴れた日に木陰の下に立つと、頭上から差し込む木漏れ日が、視界や大地の上にキラキラと美しくきらめきます。
「木漏れ日」という言葉は、樹木の枝葉のすき間から差し込む日の光、という意味。
その光はひとときとして同じ姿であることはなく、雲の動きで変化し、風に揺らめき、葉の重なり方で色を変えています。
枝葉の隙間を通り抜けて一直線に差し込む光や、まだら模様に地面へ映し出された揺らめく影……。
まさしく、一瞬一瞬の宝物、自然のなせる芸術作品のようですよね。

たった一言「木漏れ日」と聞いただけで、日本語を話す日本人の多くがそれぞれ瞬時に美しい光景を思い浮かべ、自身が心地よい自然の中に身を置いたときを想像するのではないでしょうか。
その想像から、心に安らぎを感じる人だっているかもしれません。
これは、日本語という言葉が宿している「魔法の力」と言っても過言ではないだろうと、私は思うのです。
私たちが日常的に何気なく使っている「木漏れ日」という言葉ですが、実は英語には翻訳するのにぴったりの単語が存在しないのだそう。
つまり、古来、ありのままの自然とともに生き、自然を愛しながら暮らしてきた日本人ならではの心と感性が生んだ日本語、それが「木漏れ日」なのです。
あの光と影が揺らめく美しい情景を、ぴったりの言葉で表したい、そしてその魅力を大切な誰かと共有したい……。そんなことを考えた先人たちが少なからずいたからこそ、生まれたに違いありません。

また「木漏れ日」は、季語の一つには数えられることのない言葉でもあります。
つまり、春夏秋冬いつだって、木々の下に舞い降りているやわらかな日の光は「木漏れ日」だということ。
季節にさえ、独り占めさせてしまってはもったいないくらいの言葉なのですね。
日本は昔から「言霊の幸(さき)わう国」とも伝えられてきたように、日本人は言葉の持つ力を深く信じ、大切に扱ってきた民族でもあります。
絵画・音楽・写真・映像など――自然の尊さや偉大さ、美しさを表現する芸術はどの国にも数多くあるものですが、日本語という言語は、ある意味で芸術作品と同じように自然を愛でて祝福する力があるのではないでしょうか。
きっと「木漏れ日」もその一つで、私たちの心に癒しの情景や感情を与えてくれる、言葉の芸術作品なのでしょう。

今回ご紹介した「木漏れ日」のような、日本語の美しい言葉をたくさん知って、その力を信じながら使いこなせる人でありたいものです。
あなたは、木漏れ日の降り注ぐ下で、どんなことをしたいですか?
読書、食事、運動、それとも昼寝……?
きっと何をしていても、自然にやさしく見守られているように感じられ、素敵なひとときが過ごせるのではないでしょうか。
心地よいお天気の良い日には外に出て、お気に入りの木漏れ日スポットを探してみてくださいね。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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