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奈良の鹿

旬のもの 2025.08.16

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突然ですが、みなさんにとって「鹿」はどんな存在でしょうか?

動物園でしか見たことない。
いやいや、山や田畑でよく見るよ。
昔話や絵本に登場するイメージ...

など、人それぞれだと思います。

もしかしたら「修学旅行で訪れた奈良で見た」という方もいるかもしれません。実は私もそのひとりで、鹿といえば「修学旅行で鹿せんべいをあげた」という、うっすらとした記憶を思い出しました。
今日はそんな「奈良の鹿」についてのお話です。

そもそも「奈良の鹿」とは、奈良公園付近に生息し、ほかの野生の鹿とはすこし違った特徴を持っています。
奈良の鹿の歴史をたどると、春日大社が創建された奈良時代に遡ります。神さまである武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、鹿島神宮(茨城県)から奈良の地に移る際、白い鹿に乗ってこられたという言い伝えから、鹿は神の使い「神鹿(しんろく)」として崇められてきました。

奈良の鹿は国の天然記念物にも指定され、大切に保護されてきました。
さらに2023年には大学の研究チームによる遺伝子解析で、独自のDNAを持つ系統があることがわかりました。奈良の鹿は、日本に生息する大型野生生物のニホンジカの仲間でありながら、1000年以上前に元の集団から離れ、奈良公園で繁殖を続けてきたことが科学的に裏付けられたのです。

このことからも、やはり「奈良の鹿」は特別な存在であり、「生きる文化財」と呼ばれる理由がわかりますね。

現在はおよそ1300頭もの鹿が、奈良公園や春日大社を中心に生息しています。(※令和6年7月時点の数です)
食べ物は植物(芝などの草、どんぐりなどの木の実)を主食としていますが、おやつとして鹿せんべいも販売されており、気軽にあげることができます。鹿せんべいは、小麦粉と米ぬかでつくられており、売上の一部は鹿保護の費用に充てられます。鹿がよろこび、保護にもつながるなんて、みんなにとってうれしいおやつだなぁと思います。

私は関東から奈良県に移住して約6年が経ちますが、鹿と共生する暮らしにすっかり慣れてきました。かつて春日大社の近くに住んでいた頃は、鹿が「ご近所さん」のように自宅の前をよく歩いていました。なかでも贔屓にしていた親子連れがいて、「こんにちは」と声をかけると毎回驚いて逃げていくのです。何度会っても逃げられる日々で、なかなか距離は縮まりませんでした。
夜中や早朝には「キエエエッ」という奇声のような鳴き声を発することもあり、最初は何事かと驚き怯えましたが、今ではいい思い出です。

引っ越してからはそんな親子とも会う機会はすくなくなりました。それでも時折、夏はちゃんと日陰で涼んでいるかな、食べ物は足りているかな、あの子どもは成長したかな...などと思い出すことがあります。
恐れ多いことですが、私にとって奈良の鹿は神鹿でありながら、ずっと心に寄り添ってくれる身近な存在だなぁと思います。

最近は、海外からの観光客も増えて胸が痛くなるニュースを耳にすることもあります。
どんな鹿であっても、あの親子のように人間とのほどよい距離感を保ちながら、お互いを尊重し共生できる社会であってほしいと願うばかりです。

これを書きながら、またあの親子に久しぶりに会いにいこうかなぁと思いました。
まぁきっと、いつものように逃げられてしまうと思いますが...。

参考

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高根恭子

うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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