こんにちは、櫻井です。
厳しい暑さの夏でしたが、皆様如何お過ごしですか。
連日の猛暑で、外を歩けばすぐに汗だくになり、室内に入れば冷房がしっかり効いている。その繰り返しで「体は熱いのに、お腹は冷えている」という人がとても増えています。
実際、「食欲が落ちている」「胃が重たい」と感じて相談に来られる方の多くが、この“冷え”によるダメージを受けています。今日はそんな背景も含めて、「胃もたれ」について中医学の視点からお話しします。
胃もたれの正体
胃もたれは一言でいえば「消化の停滞」です。胃腸は本来、食べ物を受け止めて、細かく砕き、体のエネルギーや血の材料を作っていく大切な場所。でも、冷えや食べすぎ、油っこい食事が重なると、働きが鈍くなり、食べ物を“処理しきれない”状態に陥ります。
それが、食後の重たさ、むかつき、食欲の低下として現れるわけです。
夏ならではの原因
強烈な暑さのために、どうしても室内ではエアコンを強めに効かせますよね。すると、表面の皮膚や血管は冷やされ、冷えた血液がお腹に流れ込みます。お腹の内側から「じんわり冷やされる」ことで、胃腸の働きはさらに鈍ってしまいます。
冷たいビール、アイスクリーム、かき氷、冷やし中華や素麺など……暑さをしのぐために口にしたくなるものばかりです。でもこれらは直接、胃腸を冷やしてしまいます。冷えたお腹は“火力”が弱まり、食べたものをきちんと燃やす力を失ってしまうのです。
猛暑で体が疲れているときほど、揚げ物やこってりした料理をつい食べすぎてしまい、一気に消化不良に。もともと冷えで弱った胃腸に、さらなる負担をかけてしまいます。
暑さによる睡眠不足や生活リズムの乱れも、胃腸の働きを停滞させる大きな要因です。
養生の工夫
では、どう整えていけばよいでしょうか。薬に頼る前に、日々できることを見直してみましょう。
まだ暑さが残る9月ですが、胃腸は温かいものを欲しています。冷たい麦茶よりも常温か白湯。アイスコーヒーではなくホット。これだけで胃の負担がずいぶん変わります。
「疲れているときほど食べすぎない」これはとても大切です。よく噛んで腹八分目で止めることで、胃腸に“余力”を残してあげましょう。
大根おろし、オクラ、かぶ、パクチー、キウイフルーツ、砂肝、烏龍茶などは消化をサポートしてくれます。特に大根おろしは揚げ物と一緒にとると負担を減らしてくれます。
食後はソファにごろん…ではなく、軽く歩いてみること。胃腸の動きが促され、食べたものが停滞しにくくなります。
ツボ押しでセルフケア
簡単に取り入れられるセルフケアとして、ツボも役立ちます。
•足三里(あしさんり)
ひざのお皿の外側から指4本分下。消化機能を高める代表的なツボです。軽く押す、温めるだけでも胃腸が楽になります。
•中脘(ちゅうかん)
みぞおちとおへその真ん中。胃そのものに働きかけるツボです。仰向けに寝て手のひらで優しくさすると気持ちが落ち着きます。
•内関(ないかん)
手首のしわから指3本分上、真ん中にあるツボ。吐き気や胃の不快感に効果的。船酔いやつわりにも使われる有名なポイントです。
胃もたれを繰り返さないために
今年のような異常な暑さのあとにやってくる秋は、胃腸がとても疲れています。ここで整えておかないと、秋冬の冷え込みにさらに弱くなってしまいます。
・冷たいものを控える
・腹八分目
・消化を助ける食材をとる
・食後は軽く動く
・ストレスをためすぎない
シンプルですが、この積み重ねが「胃腸の底力」を守ります。
まとめ
胃もたれは「胃腸が弱っているよ」という体からのサインです。今年のように暑さと冷えが入り混じる環境では、胃腸の負担は例年以上。だからこそ、冷たい誘惑に流されすぎず、温かさとやさしさを心がけたいですね。
「体は暑いのに、お腹は冷えている」――これが今年の合言葉かもしれません。胃腸を労わることは、体全体の元気を守ることにつながります。
ぜひ今日から、小さな工夫で胃腸をいたわってみてください。

櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
