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鰯雲いわしぐも

旬のもの 2025.09.17

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
空を見上げて秋を感じる人は多いのではないでしょうか。モクモクとした入道雲が立ち並ぶ夏空から、繊細な小さい雲が並ぶ秋の空へといつの間にか移り変わっています。

秋の空で印象的なこの小さな雲の群れは、「鰯雲」と呼ばれています。この雲の名前の由来は、魚のウロコのようだからとも、イワシの群れのようだからともいわれています。

鰯雲は、正式には「巻積雲」と呼ばれる雲です。対流圏の中でも成層圏に近い、高層にできる雲で、薄くて白く、透き通っています。対流圏の上のほうの気温は低いので、雲の粒はほとんど氷でできています。

一方、この季節に鰯雲によく似た「羊雲」という小さな雲の群れもあります。これは、正式には「高積雲」と呼ばれ、対流圏の中層、すなわち鰯雲よりも低い場所にできる雲です。鰯雲よりも立体的で陰影があり、ひとつひとつの雲の大きさが鰯雲よりも大きいのが特徴です。

鰯雲は雨を降らせるわけではないのですが、天気の下り坂のサインです。実は鰯雲は、低気圧の接近に伴って現れる雲です。鰯雲が出現したあとに、次第に雲が空全体に広がり、雲が分厚くなって、雨が降り出すのです。

なぜ、秋の空に鰯雲が現れるのか。それは、夏の太平洋高気圧の勢力が弱まり、大陸から移動性高気圧と低気圧が交互に日本列島を訪れるからです。この低気圧の訪れに伴って、鰯雲ができるというわけですね。

ただ、秋だけではなく春も、低気圧が日本列島を通過します。でも、鰯雲は春よりも秋の印象が強いですね。それは、春の空が霞んで白っぽく、雲があまりくっきりと見えないからだと思います。秋は空が青く澄んでいるからこそ、鰯雲が美しく見えるのです。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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