空へ向かって真っ直ぐ高く伸びる竹の清々しい佇まい。
サワサワと揺れる音も心地よくて、ときおり葉や枝の隙間から漏れる光もうつくしい。
土の中ではしっかり茎を横に張り巡らせ、ぐんぐんと成長していく。
「竹」は、イネ科の多年生植物。抗菌性や調湿性が高く、丈夫で保存にすぐれているため建材や家具、すだれや籠など日用品の素材としても多用されてきました。
そんな竹がこの時期に紅葉することを「竹の秋」といいます。
えっ、春なのに秋...?と不思議に思った方も多いと思います。
竹の秋は、俳句の世界では春の季語。
ちょうどタケノコが出る季節に、葉っぱが黄色くなる現象のことをいいます。
竹は1年に1回、春から初夏にかけて古い葉から新しい葉へ入れ変わります。ほんの短い期間ですが、落葉直前の葉は黄色味を帯びるので「竹の秋」という言葉が生まれたのだそう。
さらに「竹の春」という言葉もあります。
秋から冬にかけて青々と若葉を茂らせることからきていて、秋の季語にあたります。
春に「竹の秋」、秋に「竹の春」。
なんだか季節と現象が逆になっていておもしろいですね。
ちなみに、日本で最も多く見られる竹はモウソウチクで、私たちが普段食べているタケノコもおおよそこの品種にあたります。また、竹の秋には「葉が落ちる」といっても決して枯れるわけではありません。
竹はタケノコを育てるための栄養が必要なので、新芽に光を当てるために古い葉を落としているのだそう。繁殖していくための自然現象、その些細な変化に「竹の秋」という名前をつけた日本人の感性はさすがだなぁと思います。
もしかしたら「秋」という言葉には日本の四季、春夏秋冬、季節が巡っていくように、竹も季節の巡りを繰り返しながら繁栄してほしいという願いが込められているのかもしれませんね。そもそも「竹」はおめでたいときに使われる言葉でもありますから。
なんだか「竹の秋」という名前をつけた人に色々聞いてみたくなってきました。
私が住む地域には竹林があり、この季節になるとタケノコが採れるのでご近所さんからよくいただきます。
今年は「竹の秋」を想像しながら、ホクホクな気持ちでタケノコを味わい尽くしたいと思います。
【参考文献】
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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