こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
「♪暮れなずむ町の……」の歌い出しで有名な、『贈る言葉』の歌詞にも登場する「暮れなずむ」という言葉。
日暮れ時、夕方のことだとわかっていても、具体的にどんな光景か曖昧な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、日が暮れそうでいてなかなか暮れない、日が長くなって夕日が沈むのが遅く感じられる晩春の頃の夕方のこと。
漢字では「暮れ泥む」と書くのですが、「泥む」とは、水・雪・泥などで足を取られて前へ進めない状況を指します。
物事の停滞や、なかなか進まない様子、悩み苦しむこと、こだわり気にすること……といった意味の言葉なのですが、現代では「泥む」単体ではほとんど使われていません。
「泥む」だけ見るとマイナスイメージが強い言葉だと言えます。でも不思議なことに頭に「暮れ」がついて「暮れなずむ」になった途端、明るさが長く残る春の風情を伝える言葉に変身して俳句にも多く詠まれています。
「暮れなずむ」の言葉が出てくる『贈る言葉』の歌も、大切な人との別れや旅立ちの時に、その人の幸せを願って手向ける言葉という意味が込められています。春は出会いと別れの季節です。
特に、夕暮れ時は別れの切なさを感じさせるのと同時に、夕日のぬくもりは旅立つ人をそっと包み込み、背中を押してくれているようにも感じられます。
これからどんどん日が長くなって、明るくあたたかな季節への希望も思わせてくれるような「暮れなずむ」ひととき。
景色の色も、光と影の姿かたちも刻々とうつろい、その変化すら美しくて目が離せない時間なのではないでしょうか。
大切な人と、時を共に過ごしたいものです。
かけがえのないこの瞬間から離れがたく思いながらも、まだ見ぬ明日への希望が膨らむような、この季節。
素敵な夕暮れに出会ったら、ぜひ「暮れなずむ」時間を体感してみてくださいね。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
