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どんど焼き

暦とならわし 2024.01.15

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

お正月気分でいたのもつかの間のこと、一月も瞬く間に半分が過ぎてしまい、今日はもう15日。
旧暦のこの日は、その年で最初に迎えるおめでたい満月の日なので、「小正月」や「望正月」などと呼ばれます。

現在は、新暦で置き換えられ日付でお祝いされている地域が多いですが、もともとは月の満ち欠けに結びついていたのですね。
普通のお正月には「初日の出」など太陽を意識することが多いものですが、小正月は農業とかかわりの深かった月の暦に心が向けられ、どちらの存在も慈しんできた日本人の文化が感じられる気がします。

さて、この日は神社仏閣などにおいて、「どんど焼き」と呼ばれる火祭行事(お焚き上げ)が行われるところが多いです。
もともとは、宮中でお正月飾りや授与品などをお焚き上げする「左義長(さぎちょう)」という行事が庶民にも伝わり、それが「どんど焼き」として広まったと言われています。

このお祭りの呼び名は、「どんと焼き」「どんどん焼き」の他、「道祖神(どうそじん)祭」「三九郎焼き」「さいとう焼き」「ぼっけんぎょう」「鬼火焚」などさまざまで、地域によって日時や行事内容も少しずつ異なっています。

しかし、その意味合いで共通しているのは、「どんど焼き」というのは通常のお焚き上げとは少し違い、特にお正月に飾った門松やしめ飾り、縁起物に書き初めなども持ち寄って、お正月にかかわるもののすべてに感謝を込めて始末をつけるということ。
年が明けて、それぞれの家に門松などのお正月飾りを目印にお越しいただいた年神様を、炎と一緒に空へと見送るという意味もあります。

また、その火でお餅やお団子を焼いて食べ無病息災を祈ったり、終わった後の灰を持ち帰って自宅の周囲に撒くことで一年間の病を退けることができるという言い伝えなどもあります。
その他にも、その地域を見守る道祖神のお祭りとされている地域も少なくありません。

いずれにしても、人々はその神仏に想いを込めた神聖な炎を眺めながら、改めてその年の五穀豊穣や商売繁盛、家内安全に無病息災などを祈り願うのですね。

私がいつも、神仏にかかわる日本の文化で特に素晴らしいなと感じさせられるのは、ひとつひとつの物事に対する「後始末」の姿です。
たとえば、神社仏閣で授かった御札や御守りも、古くなったものはゴミとして捨てるのではなく、感謝を込めて神社やお寺にお戻ししてお焚き上げを行ってもらうことが、本来の「始末」のつけ方。

同じように、お正月という「良い年」の始まりを迎えるにあたって、神仏に祈りや願いを込めて使った道具の一つひとつも、皆で集まって丁寧に後始末をつけてきたわけです。
どんなものでも雑に扱うことなく、感謝を込めて「納める」ことを忘れないために、かつての日本人はこういったお祭りを生み出したのでしょうか……。

今年も各地で、神聖な炎が空に向かって揺らめく姿が見られることでしょう。
一年は、まだまだ始まったばかり。
たとえどんなことがあっても、それぞれの人が何度でも前を向いて、心明るく進んでいくことができる年になりますように。
私も、神社でどんど焼きの神事にご奉仕をしながら、そう心で祈りたいなと思います。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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