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春祭はるまつり

暦とならわし 2020.03.31

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

毎年のことながら、やっぱり心がワクワクする、春の訪れ。寒さ厳しい冬の間は寂しかった木々の枝にも新たな命が芽吹き、その小さくも力強い姿を見るたびに、物事の始まりや希望を感じずにはいられません。

あらゆる命が生き生きと動き始めるこの季節、多くの神社では「春祭」という行事が行われています。時期は「立春(りっしゅん=2月4日)」から「立夏(りっか=5月5日)」までの間と、神社によってさまざま。
意味は、農業の始まりを神様へ御奉告するとともに、その年の実りや豊作を祈念するものです。秋には「秋祭(あきまつり)」が行われ、その際には収穫の御奉告とともに、神様へ感謝をお伝えします。

この「春祭」は、2月17日に宮中や伊勢神宮で行われている「祈年祭(きねんさい=としごいのまつり、とも呼ばれる)と同じ意味があります。
1年の無事や豊作を祈る「祈年祭」と対をなしているのが、11月23日に行われる実りへの感謝を伝える「新嘗祭(にいなめさい)」です。
祈年祭については、奈良・平安時代あたりから行われるようになったと伝えられているそう。

いつの時代も農耕は常に自然と一体であり、その運命は人だけの力でどうこうできるものではありませんでした。
そして、自然界のあらゆるものに「神様が宿っている」という日本古来の神道的考えから、神様へ「恵」に対する感謝を捧げる、大切なお祭りが生まれたのでしょう。

年に一度必ず行われる、各神社におけるもっとも重要で大きなお祭り「例大祭・例祭」が、春や秋に多いのも、この「春祭」「秋祭」と兼ねていることが多いため。
この神事は、各地域の中心となる神社で、神様と人の暮らしが深く結びつくための、重要なならわしでもあるわけですね。

もちろん、農耕が身近ではない人にとっても、このお祭りはきちんと意味があるんです。その年の国家安泰(=国が穏やかで安全なこと)も、あらゆる産業の発展も、人々はこの春祭を通じてお祈りしてきました。

私たち日本人の暮らしにおいて、「春」は始まりの季節であり、さまざまな物事の節目にもなっています。
「春」という季節を心から喜び、神人一体となってお祝いしたり、一人ひとりの1年間の健康や無事を祈願したりする意味としても捉えられます。

もちろん、日々いただく食事の恵みに対するありがたさを思えば、決して「自分には関係ないお祭り」ではありませんよね。今年も1年、心安らかに、自然からの恩恵をいただきながら暮らしていけますように……と、神様にお祈りをするよい機会でもあるわけですから。

さて、あなたは訪れる「春」にどんなことを願いますか?
身近な神社において、「春祭」や「祈年祭」がある場合は、ぜひ足を運んでみてください。その年のあらゆる「始まり」が、素晴らしいものになりますように……。
 
 

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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