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ししゃも

暦とならわし 2020.10.11

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こんにちは。漁師をしている三浦尚子です。今日はシシャモについてのお話です。

シシャモは北海道が産地で、実は北海道の太平洋沿岸にしか生息していない日本固有の魚です。もしかしたら「あれ、スーパーで輸入物あるよね?」と疑問を持つ方もいるかもですが、スーパーで「子持ちシシャモ」と書かれているものはシシャモの代用品として食べられている「カラフトシシャモ」のこと。実は違う種類の魚が「シシャモ」として広まっています。

昔は大量に獲れる大衆魚だったそうですが、卵を持った成魚の乱獲で水揚げが減り、高級魚として扱われるように。水揚げ量自体が少ないので、本物のシシャモが出回ることが少ない貴重な魚です。

シシャモとカラフトシシャモを並べてみるとはっきりわかるのですが、北海道産のシシャモは体に丸みがあってシャンパンゴールドのような色。鱗が大きくて1枚1枚はっきりしています。一方で、カラフトシシャモは鱗が細かくて皮の色に青さがあって細身。ぱっと見の雰囲気は似ていても、よくよく見ると真逆かもなあと思うくらい特徴が違います。

私の中では魚卵を持っているメスの方がおいしいイメージがあったのですが、オスの方は身に脂が乗っていて風味があるそう。どちらを選んでも違いを楽しめるのでお好みで!

シシャモは漢字にすると「柳葉魚」と書くのですが、実はこれはアイヌ語に由来するそう。アイヌ語でスス(柳)、ハム(葉)を合わせてススハム(柳の葉)という言葉からきていて、それが少しずつ変化して「シシャモ」と呼ばれるようになりました。アイヌの神様が飢餓に苦しむ人々を助けようと柳の葉をシシャモに変えた伝説があるそうで、「神がくれた魚」として尊ばれる存在だったとか。

シシャモは鮭と同じように川で生まれて海で生活し、大人になったら川に遡上して卵を産むので、旬にあたる10月から11月下旬にかけて河川に群れをなして現れます。

産卵期に入ると少しずつ体の色が変わるので、見ていておもしろさがある魚です。
最初はそこまで変化はありませんが、段々と体の表面が変わってきて、赤みが濃くなっていきます。後半頃にはさらに色が濃くなっていき、オスの体にはところどころ墨のような模様が入るようになるとか。

シシャモというと、なんとなく小学校の給食を思い出すのは私だけでしょうか?
はじめて給食でシシャモを食べたときに、「頭から食べると頭が良くなる」「尻尾から食べると足が速くなる」という話を先生から聞いてびっくりして食べていた覚えがあります。みんながどっちから食べるのかを見ていたなあと思い出しました。(ちなみに、私は頭から食べていたタイプです。)

この「頭から食べる」or「尻尾から食べる」問題はみんな当たり前に聞く話なのかと思っていたのですが、実は違うよう。友人に聞いたら「え?聞いたことないよ?」と言われてしまいました。この話、みんな当たり前ではないんだなあ…。

天ぷらや唐揚げ、甘露煮など、食べ方はさまざま。私はシンプルな塩焼きで、やっぱり頭からがぶりと食べたいです。みなさんは頭と尻尾、どちらから食べますか?食卓でどっち派なのかを話ながら食べるのも楽しそうだなあと思います!

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三浦尚子

漁師・ライター
神奈川県出身、岩手県在住。春が好き。ほっとする暖かさと、生き物が活発に芽吹いていく空気が心地よく感じます。趣味はカメラとおいしいごはんを食べること。夜明け頃の海が好きで、ときどき海の写真を撮っています。

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