こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
2021年は、124年ぶりに節分が2月2日にやってくる、大変珍しい暦の調整の年です。
「節分」の行事に関しては、古くから受け継がれてきたものが、今なお日本の文化として残されています。
「節分」とは、その文字が示すように、季節の分かれ目の日。
暦の上では、節分の翌日にあたる「立春」からが春……。つまり、「新しい一年の始まりの日」として考えられていました。
厳しい冬を乗り越えて、また新たな春を迎えるということは、私たちにとって本当に喜ばしくワクワクすることですよね。
もちろん自然の世界でも、あらゆる動植物がさかんに活動を始め、まるで希望を象徴するような節目になります。
そこで昔の人たちは、この春を迎える前日である節分に冬がまとう「陰」の気を祓うことで、気持ちよく「陽」の季節である春を迎えることにしてきたのです。
節分と言えば、まずは「豆まき」がおなじみの行事かと思います。
これは「鬼は外、福は内!」の掛け声をかけながら「豆」をまくことで、疫病や災厄の原因と考えられていた「鬼」を退治するならわしです。
鬼退治に豆が使われる理由は、お米と同じように神様が宿るとされていたことと共に、鬼の目に向かって投げることで鬼を追い払うことができる「魔目」でもあるという理由で、「魔除け」にピッタリだったから。
さらに「柊鰯(ひいらぎいわし)」といって、鬼の目を刺すチクチクとした植物「柊」と、臭いの強い焼いた「鰯」の頭という鬼の苦手な魔除けアイテムを2つ組み合わせて門などに吊るす――といったおもしろい風習も生まれました。
「鬼」というのは、日本人にとってあらゆる「悪いもの」「恐ろしいもの」を象徴してきたような存在だったわけです。
それをなんとかして追い払うことで、心身ともに清らかな状態で春を迎えて、また幸福いっぱいの一年を過ごしたいという願いが込められていたのでしょう。
ちなみに、近年では大阪が発祥とされる「恵方巻」の文化が、日本全国に広がるようになりました。
これは比較的新しいならわしのようですが、その年の「恵方(えほう=良い方向)」を向いて、ひとことも喋らずに一本の太巻き寿司を丸々食べきることができると、その年を無病息災で幸福に過ごせる――という、これまた一風変わった風習です。
2021年の恵方は「南南東」ですから、皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
それにしても、こういった一つひとつのならわしの裏側には、人々の真摯な祈りが感じられるように思えます。
そして、日本人の「縁起の良いもの」や「目に見えない世界」に対する、感性や発想の豊かさもうかがえますね。
世の中はまだまだ、疫病に苦しめられる厳しい時期が続いています。
そんな今こそ、先人たちが大切にしてきた「祈り」の心を思い出し、この国で受け継がれてきた文化に目を向けてみませんか?
皆様に、素敵な「春」が訪れますように……。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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