おはようございます、こんにちは。エッセイストの藤田華子です。
毎年この時期になると、親しい方と「今年はこんな年だったね」と1年を振り返ることが多いのですが、今年はあちこちから「『あっ!』という間に年末になってしまった!」「ぼんやりと1年が終わってしまう!」なんて声が。
春には桜を見て、夏にはBBQ、秋には行楽に出かけ、冬は忘年会…当たり前のように過ごしてきた季節の楽しみが、生活に良いリズムをつけてくれていたのだと実感せずにいられません。みなさんはいかがでしょう。
さて、そんなふうに時間の流れがぼんやりとしているいまだからこそ、久しぶりにチャレンジしてみようと思うものがあります。
準備もまた楽しい、お正月のあれ…そう、年賀状!
改めて歴史を調べてみたら、なんとルーツは平安時代までさかのぼります。
学者・藤原明衡がまとめた手紙の文例集『庭訓往来』のなかにお正月についてこんな記述があったそうです。
「春の始めの御悦び、貴方に向かってまず祝い申し候」(春始御悦向貴方先祝申候訖)
日本最古の年賀状といわれているこちら、時を超えて令和のいまと変わらないメッセージがしたためられていますね。このころから親族や親しい方に新年の挨拶をする「年始まわり」という習慣も広まったそうです。
江戸時代に入ると、現在の郵便の先駆けとなる「飛脚」制度が充実し、一般の方も手紙で挨拶をする機会が増えていきます。郵便受けならぬ「名刺受け」というものを玄関に設置し、不在時には、新年の挨拶を書いた名刺を入れてもらう文化もあったそうです。
そんな歴史を経て年賀状が広まったのは、明治4年(1871年)の郵便制度開始がきっかけ。
明治6年(1873年)に郵便はがきの発行が始まり、明治20年(1887年)頃には年賀状を出す方も激増しました。お年玉付郵便はがきの発行枚数は2003年のものがピークで、44億5936万枚までのぼったそうです!
ここ数年はインターネットの普及によりLINEやメール等で新年の挨拶をする方(環境問題への配慮をしているという方も)、一部では「虚礼廃止」ーー形だけの儀礼を廃止するという考えで積極的に出さなくなったという方も多いようです。
時代とともに、伝統も形を変えていくのは必然。それぞれが思う良いかたちで、新年のご挨拶をしてみてはいかがでしょう。
最後に、私が好きな新年の短歌をご紹介します。
明るい青空が浮かぶ爽やかな一句ですが、現実では借金や病気に苦しんだ啄木。だからこそ、新年を迎える喜びも一際だったのでしょう。
時は令和、私たちにとっても新型コロナウィルスの影響で先が見えにくい状況ではありますが、私も年賀の挨拶では啄木を見習って「何となくいいことがありそうな予感」と明るいメッセージを発信していきたいと思います。
来る2021年に思いを馳せて。素敵な年末をお過ごしください。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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