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遅霜おそじも

暦とならわし 2021.04.19

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
たまに寒い日はありますが、春まっさかり。新しい年度の新生活にも少し慣れてきたところではないでしょうか。

さて、この時期は意外なことに、まだ霜がおりることもあるのです。道端の葉を白くコーティングする霜はとても美しく、ついつい見入ってしまいます。日が昇るにつれてとけてなくなってしまう儚さも魅力的ですよね。
ただ、霜は畑の作物の天敵であることを忘れてはいけません。霜が降りると葉や茎が黒く変色し、枯れてしまいます。ですから、この時期には霜注意報が発表されるのです。

ところで、霜はどのようにしてできるのでしょうか。霜の正体は氷ですが、これは空気中の水蒸気が葉にくっつくときに凍ることでできます。空気中の水蒸気が葉にくっつくときに水になれば「露」が、水の段階を飛ばしていきなり氷になれば「霜」が降りるというわけです。

春は昼間の気温こそ暖かいのですが、朝晩の気温はまだまだ低いです。特に晴れて風の弱い日は、放射冷却が起こりやすいため、地表付近がキンキンに冷え込みます。だいたい夜間の気温が3℃くらいであれば、霜がおりることが多いといわれていますが、それは、気象庁の気温の観測は地表から150cmの高さで行われているからです。地上から150cmで3℃を記録すれば、当然地面に近づくと水が凍る0℃近くになっていてもおかしくないのです。

霜が降りると死活問題になるのがお茶の栽培です。茶畑に行くと高いポールの上についている小さなプロペラをよく目にしますが、このプロペラは、防霜ファンと呼ばれるもので、霜がつくのを予防する働きがあります。

放射冷却によって冷やされた空気はあくまで地表付近にたまっているだけであり、春になれば少し高い場所の空気は暖かいです。ですから、高いポールの先についている防霜ファンを回すことで、地表付近の冷たい空気とその上にある暖かい空気をかき混ぜて、霜を防ぐのです。

もし今後、お茶の産地を訪れたり、東海道新幹線に乗って静岡県の茶畑を通過したりする機会があるのなら、ぜひこの防霜ファンにも注目してみてください。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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