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縁起物「水引」

暦とならわし 2021.06.25

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

日本における贈り物として、多くの方がイメージするのは「水引」ではないでしょうか。
懸け紙にも熨斗(のし)と共に必ず登場しますし、昨今は婚礼用のご祝儀袋に、様々な形の華やかな飾り結びが用いられることも多いですね。
その他にも、お正月飾りや、神社では巫女の髪飾りに水引を見かけることもあります。

水引は、和紙をくるくると紙縒り(こより)のように縒って紐状にし、その縒りが元に戻らないよう液体の水糊を引いて、乾かし固めたもの。一本だけで使われることはまずなく、一般的には3、5、7、10本のいずれかを結んで使用します。

縁起の良いものに偶数が避けられる理由としては、「割り切れる」という言葉から使うのを避ける説。また、中国の陰陽五行説では奇数を「陽数」とすることから、五行説の5を基本の数として、3を5の簡易的な数、7はより丁寧に、10は偶数として捉えるのではなく5の倍数の「二重陽結び」として、豪華さを表現するような意味があると言われています。

水引は「縁起物」としても大切にされていますが、その理由は水の持つ力「浄化」「祓い浄め」「邪気祓い」といったところから来ています。
その歴史は古く、由来や起源も諸説あると言われていますが、整然とした美しさは決して流行り廃れを感じさせないばかりか、一種の「祈り」に似た神秘性を秘めているように思えてなりません。

それもそのはずで、水引はもともと神事の際に、神様へのお供え物を束ねる紐として、神聖で穢れのない白一色で使われていました。
それが次第に、一般的な慶事(おめでたい物事)には紅白、結婚式や長寿のお祝いなどには豪華な金銀、反対に弔事(不幸な物事)には黒白や銀、黄白などの染め分けへと発展していったようです。

水引は丁重な贈り物として、慶事に限らず不祝儀にも用いられるため、色が持つ意味合いによる使い分けがはっきりと決められています。
それだけでなく、花結び(蝶結び)・あわじ結び(鮑結び)・結び切り・梅結びなど、結び方によっても強いメッセージ性が生まれるのが特徴です。

花結びは「何度繰り返してもおめでたい出来事」の意味で、出産祝いや入学祝いなどの贈り物に。あわじ結びや結び切りは「人生の中で一度限りが望ましい出来事」の意味で、婚礼関係の他、弔事関係やお見舞いの贈り物に。昨今人気の可愛らしい梅結びは、「固く結ばれて解けない絆」という意味を込めて、婚礼関係の贈り物に。

こういった意味を無視して、意図とは違った色や結び方を使ってしまえば、相手への大変な失礼になってしまうこともあるため注意が必要です。
しかし逆に考えれば、随所に細やかな心遣いが感じられる水引は、日本人の心を伝える「贈り物」の文化にぴったり寄り添うものだとも言えますね。

ともあれ、現代においても、水引の技術は様々なものに活かされています。
飾り紐以外にも、アクセサリーや神社仏閣の御守りなどに使われることも増え、私たちに「和」の美しさを感じさせる身近な存在になっているのではないでしょうか。
水引を見かけた際には、その奥深さを改めて観察してみるのも素敵ですね。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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