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秋祭あきまつり

暦とならわし 2021.09.11

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

暑さ厳しい夏を乗り切ると、短くも気持ちの良い季節、恵みの秋がやってきます。
高く澄んだ空の美しさや、過ごしやすい気候はもちろん、日本の秋はさまざまな食の魅力も感じられるのがうれしいです。

特に、私たち日本人の食卓に「お米」の大切さは計り知れないものです。日本全国で春の田植えから始まり、五穀豊穣の恵みの収穫は秋に行われます。
神社における「秋祭」とは、この季節に行われるお祭りの総称と言えるわけです。

特に、田植えを前にして一年の豊作を祈り春先に斎行される「祈年祭」を春祭とし、その対となる「新嘗(にいなめ)祭」を秋祭とする場合も多いです。
その目的は、この一年で私たち人間が自然からいただいたあらゆる恵みの「収穫」が行われる節目に、神様へのご奉告と感謝を届けること。

ですから、宮中や伊勢の神宮はもとより、各地の神社でも新嘗祭にはお米を中心にさまざまな収穫の恵みを神様にお供えするのです。

科学が発達した現代を生きる私たちも、決して、自然界のすべてを自由自在にできるわけではありません。
日本に古くから伝わってきた神道の文化や価値観では、神々たちは自然界を司り、私たち人間にも繁栄をもたらしてくださっていると考えられてきました。

人が自然の前で傲慢さを見せれば、自然はたちまち大きな力で、私たちを呑み込んでしまうこともあります。
自然災害などは人の力だけではどうにもならないことばかりですし、自然界からの授かりものによって「生かされている」のが私たちです。
その謙虚な心を思い出すためにも、こういった文化が脈々と受け継がれてゆくことは、本当に大切なことだとしみじみ感じてなりません。

神様と人との関係性には、「恵みへの感謝」以外にも、氏神・氏子という地域の「鎮守への感謝」があります。
それは、今私たちがそれぞれにご縁をいただき、住まわせていただいている地域を守ってくださる神様の存在を畏れ敬い、大切にするということ。
各神社では、お祭りされている神様のご縁日(えんにち=ゆかりの深い日)に、年に一度のもっとも大切なお祭り「例大祭」を行うのですが、これが秋に行われる場合はそれを「秋祭」と称する地域も少なくありません。

写真提供:紺野うみ

このように、秋には多くの神社で大きなお祭りが行われているのですが、神様と私たちの繋がりは、ある意味で祭(まつり)によって、繰り返し深められているとも言えるのではないでしょうか。
つまり、毎年盛大な祭祀を行って神々をお祭りすることで、神様と人間の関わりはより濃くなっていき、私たちも暮らしの中で「感謝の心」と「祈りの心」を思い出すことができるわけです。

いずれにしても、季節とともに息づくこのような文化を通じて、明るく清らかな心で生きてゆくことを目指すのも、日本ならではの素敵な価値観ではないでしょうか。
秋祭に出かける折には、そんなことも頭の片隅で考えながら、賑やかなお祭りを楽しんでいただければ幸いです。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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