こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
神社のお祭りと聞いて皆様の心に浮かんでくるのは、掛け声に合わせてお神輿が町を練り歩いたり、参道付近に色とりどりの出店が並んだりする光景でしょうか。
私も幼い頃から、お祭りの日は朝から夜まで、いつもの町の中にどこか「非日常」を感じて、心がウキウキそわそわしたものです。
日本各地にある神社では、年に一度、それぞれの神様にとって最も特別なお祭り「例大祭(例祭)」というものが行われます。これには、神社にお祀りされている御祭神へ、人々が日頃の感謝と祈りを届ける大切な意味が込められています。
今回ご紹介するのは、東京の下町・浅草の浅草神社の例大祭である「三社祭」です。毎年5月の第3金・土・日曜日に行われており、その名前の由来は浅草神社の旧名「三社大権現社」または「三社明神社」から来ています。
なぜ「三社」かと言えば、浅草神社はお祀りされている御祭神が3柱おられ、その神様たちを総称して「三社様」と呼ばれていたため。
江戸の華やかな風情を象徴するかのような神輿渡御(みこしとぎょ)は大変勇壮で、浅草周辺が1年で最も活気を見せる日のひとつだと言えるのではないでしょうか。
その人出は3日間でおよそ180万人を数え、東京の初夏を代表する風物詩にもなっているお祭りです。
初日には、東京都の無形文化財にも指定されている「神事びんざさら舞」が奉納され、五穀豊穣に商売繁盛、子孫繁栄などを願って「びんざさら」という楽器を鳴らしながら舞われます。
2日目には、「町内神輿連合渡御」による大小さまざまなお神輿が約100基も、神社の境内に集まります。一基ずつお祓いを受けて、各町会を渡御する光景は圧巻です。
最終日には、いよいよ「宮出し」と言って、神社から神様が遷されたお神輿が3基、町を順に巡ります。このお神輿は、なんとひとつが1トンもの重さになるのだそう! そのため、70人以上の若者たちで担がれ、お祭りの賑わいは最高潮に達します。
ところで、お神輿の巡行というのは、そもそもどんな意味が込められているのでしょうか?
お神輿は、言わば「神様の乗り物」です。通常神社のお社にお鎮まりの神様にお出ましいただき、神様のお乗りになったお神輿を私たちが担ぎ町を練り歩くことによって、神様と人間との距離がより身近に感じられる貴重な機会でもあるわけです。
ここ数年は、疫病蔓延の影響で各地のお祭りも規模が縮小するなど、神様と一緒になって賑やかに過ごすという機会がかなり減ってしまっておりました。
それでも、少しずつ以前のようなお祭りの姿が戻ることになれば、きっと人も町も、もっと元気や笑顔を取り戻すに違いありません。
世界中で疫病との長い戦いが続いておりますが、こんな時こそ何気ない日常や、健康でいられることの幸福に対して、感謝を忘れずにいたいものです。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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