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鳥居とりい

暦とならわし 2023.04.23

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

神社のシンボルと言えば、まず挙げられるのが「鳥居」なのではないでしょうか。
どんなに遠くからでも、鳥居の姿を見かければ、そこに神社などの聖域があることが分かります。

神社の鳥居は、入り口にひとつだけある場合もあれば、御本殿に向かうまでにいくつかの鳥居をくぐることもあることでしょう。
複数ある場合は、最も大きな鳥居が神域全体の入り口にあり、最初にくぐることになるこの鳥居を「一の鳥居」と呼びます。以降、参道を通り御本殿に近づいていくごとに空間の神聖さが高まり、その段階に応じて「二の鳥居」「三の鳥居」と続いていきます。

鳥居の起源と名前の由来については、さまざまな説があります。
中でも有名なのは、神話の中で太陽の女神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)様が天の岩屋に隠れてしまったとき、八百万(やおよろず)の神様たちがお出ましを願ってその入り口で鳥を鳴かせたことから、その鳥が止まって居た木を「鳥居」の始まりとするお話でしょうか。

物の名前ひとつからも、裏側にさまざまな理由が隠されていることを知ると、なんだかワクワクするものですね。

鳥居の種類は、代表的なものとして一番上の横柱が若干上向きに反っているのが特徴の「明神(みょうじん)鳥居」と、横柱が一直線でシンプルな形をしている「神明(しんめい)鳥居」があります。

その他にも、鳥居には何十種類もの形があると言われ、神社によってその大きさも色も素材もさまざまですが、共通して言えることは「そこから先が神域(神様のための聖なる土地)である」ということ。
つまり、鳥居は「聖域の入り口を守る門」という役割を担っているのです。

どっしりと構える鳥居の足元をくぐるとき、私はやっぱり、しゃんと背筋が伸びるような心持ちになります。
神様のお家にお邪魔させていただくことへの緊張感と、感謝の気持ちを忘れないようにしなくてはいけないと、この瞬間に心が自然と居住まいを正すのでしょう。
神社参拝の作法としても、鳥居をくぐる際には一度立ち止まって一礼を、と言われています。

きっと鳥居の存在は、御神前で神様と向かい合うまでの間に、参拝する私たちの心を整えてくれるような役割もあるのではないでしょうか。

鳥居は「神様が宿る聖域を守る結界」である――。
そう考えると、物や情報ばかりがあふれ、混沌とした今の時代を生きる私たちにとって、本当に鳥居を立てておきたい場所は、自分自身の心の中にもあるのかもしれません。
よく、神社には御神体として「鏡」がありますが、それは自らの心の中にも神様がいて、それを映し出すためであるとも言われています。

誰にとっても、自分の心の中は「聖域」です。
生きていれば、自らを取り巻くさまざまな環境や出来事によって、心が傷つけられたり穢されたりすることもあることでしょう。

それでも、外からの悪い影響によって侵され乱されることのないように、私たちは自分の心の入り口に鳥居を立てて、その聖域を守らなくてはいけないと感じるのです。
どんな世の中を生きていても、心の清らかさを守り、生き方を決めてゆくのは自分自身なのですから。

神社で鳥居を見るたびに「自分の中にある鳥居は、しっかりと心を守れているだろうか」と問いかけてみませんか。
もしも、日常の中で心が乱されるようなことがあったときは、ぜひ、あなたにとって馴染みの深い神社へお詣りしてみてくださいね。
いつでも、立派な鳥居に守られた神域が、あなたを待っていてくれることでしょう。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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