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月遅れぼん迎え火

暦とならわし 2024.08.13

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

皆様がお住まいの地域では「お盆」の期間といえばいつでしょうか?
お盆とは仏教の行事で、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」もしくは「精霊会(しょうりょうえ)」と言って、あの世にいらっしゃるご先祖様の霊をこの世にお迎えして、供養を行うならわしです。

もともと旧暦の7月に行われていたものが、現在は新暦に合わせて7月に行う場所が多いのですが、地域やご家庭によっても違いがあり、特に8月に行われるお盆のことは「月遅れぼん」とも呼ばれています。
お盆の入りは13日で、その日の夕方に迎え火を焚いて祖霊をお迎えし、15日の夕方か16日の朝には送り火を焚いて祖霊をお見送りする、という流れが一般的です。

この火は、ご先祖様の霊が道を迷うことのないように門の前や玄関先で火を焚くのがならわしで、麻の茎を乾燥させて作った「麻幹(おがら)」を焚き、燃えている麻幹の上を跨ぐと疫病を避けられるとも言われています。
しかし、昨今の住宅事情もあり火を焚くのが難しい場合は「盆提灯」を飾って代用することも多いですね。

この季節に夏祭りや盆踊りなどの行事が多いのも、この世にいらしているご先祖様の霊を慰めるとともに、この世に生きる私たちも生きる喜びやご先祖様への感謝を胸に、一緒にひとときを楽しむといった意味を込められているわけです。

迎え火や送り火は、たとえば京都の「五山送り火」のように、地域によって大きな行事として行われていることも多いですね。
それだけ、日本においては「祖霊」を大切に想いながら生きることが、当たり前の文化であり「ならわし」のひとつとして受け継がれてきたことが分かります。

お盆と言えば、お仏壇に設けた「盆棚」にキュウリの馬とナスの牛を作って並べ、「来るときはキュウリの馬で早く来てもらい、帰るときはナスの牛でゆっくりとお帰りいただく」という風習が今なお残っています。

今は亡き大切な家族や、命を自分のところまで繋いできてくださったご先祖たちの霊が、キュウリの馬やナスの牛にまたがって行き来しているのだと想像すると、なんとなく胸がほっこりあたたかくなるような気がするのは私だけでしょうか。

お盆の始まりに迎え火を焚くこの瞬間は、誰もが「目には見えないけれど、大切に想う存在」のことを意識するのではないかと思うわけです。
この世に生きる人間は、誰だって「先祖」のいない人などいませんし、長く生きるほどに見送ってきた大切な家族もいることでしょう。

そんな人々の存在を思い出して改めて身近に感じることや、今を生きる自分の姿を見てもらうことを意識するのも、日々を生きることに一生懸命な私たちにとっては「お盆」があるからこそ得られるひとときだと言うこともできるかもしれません。

皆様は、どんなお盆を過ごされるでしょうか?
お墓参りをしたり、仏壇に手を合わせたり、懐かしい人の顔を思い浮かべたり……。
きっと、その一瞬一瞬が、穏やかに祖霊と心を通わせる瞬間なのです。
あなたを見守るご先祖様たちが、にっこりと微笑んでいる様子を思い浮かべながら、素敵なお盆期間をお過ごしください。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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