今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

新盆と旧盆にいぼんときゅうぼん

暦とならわし 2025.07.15

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

今年の夏も連日厳しい暑さが続いておりますが、子どもたちは間もなく夏休みを迎える頃でしょうか。
大人も夏休みには「お盆」の期間を挟むという方が少なくないはず。
そして、東京をはじめとする一部の地域では、今まさに「お盆」を迎えていることでしょう。
あれ、お盆って8月じゃなかった……? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本で受け継がれてきたお盆は、地域によって7月13日から16日までの「新盆」と、8月13日から16日までの「旧盆」という二種類があるのです。

この暦の違いは明治時代に行われた改暦の影響で、旧暦の7月15日に行われていたお盆が、新暦では8月15日頃になったという経緯。
しかし、東京をはじめとする一部の地域では7月にお盆を行う習慣が残り、逆に農業が盛んな地域では農繁期の7月を避け、1ヶ月後の8月にお盆を行うようになったという説もあります。

お住まいの地域によって、皆様がどちらの「お盆」を過ごしてきたかは違うかもしれませんが、基本的な行事の内容や目的については共通しています。
ご先祖さまや故人の霊魂をこちらの世界にお迎えしてもてなし、日頃の感謝を伝えたり、昔を懐かしんだりして供養を行うというもの。
だからこそ「お盆」の語源も、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教の行事から来ているのです。

また、「新盆」と「旧盆」の違いは時期や地域の他にも、故人が亡くなり四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を指して、特別に「新盆」ということもあります。
こちらの意味の「新盆」については、亡くなった方にとって初めての里帰りということで、通常のお盆よりも手厚く供養を行います。
まだまだ別れて間もない魂との再会ですから、寂しさや想いの強さもひとしおでしょう。

お盆に行われる一般的な風習にはいくつかありますが、まずは初日に故人の霊魂をお迎えする「迎え火」を焚き、最後の日にその霊魂をお送りする「送り火」を焚くこと。
これは個別に自宅で行うこともあれば、京都の有名な「五山の送り火」のように、地域一帯で行われる場合もあります。

また、自宅のお仏壇に盆提灯や精霊馬(きゅうりの馬となすの牛。「行きは馬に乗って早く来ていただき、帰りは牛に乗ってゆっくりとお帰りいただく」という意味のお供え物)などのお盆飾りや、果物やお花、故人の好きだったものなどをお供えします。
毎年家族そろってお墓参りをして、ご先祖さまにご挨拶をするという家庭もあることでしょう。
その他にも地域の行事として、河川などに灯篭などの明かりを流す「精霊流し」や「盆踊り」が行われることもありますね。

例年、お盆休みは交通機関の帰省ラッシュが報じられるように、多くの方がそれぞれの故郷へ里帰りをしては、大切な家族や懐かしい友人たちと共にひとときを過ごされるのではないでしょうか。

きっと、お盆にはご先祖さまや大切な亡き人の魂も、昔を懐かしむかのように向こうの世界から里帰りをしていることでしょう。
盆踊りに花火大会といった賑やかなお祭りが多いのも、そういった行事を通じてこちらの世界にいる人もあちらの世界に旅立った人も一緒になって、楽しくひとときを過ごしたいという心の現れなのかもしれません。

ご先祖さまに想いを馳せたり、懐かしい故人を思い出したりする時間は、ちょっと切ないような、ほんのりと心が温かくなるような、なんとも不思議な気持ちになるものです。
自分の元まで連綿と続いてきた命の営みや、自分を取り巻くかけがえのないご縁の不思議……。
「新盆」と「旧盆」、それぞれのお盆期間に、しみじみと感じてみてはいかがでしょうか。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

記事一覧

紺野 うみ|オフィシャルサイト