こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
今年も気が付けば、残りあとわずか。
年末までに済ませておきたい用事や、年始を迎えるにあたってやっておくべき準備など……指折り数えてみて、びっくり。
さすが、師も走る「師走」の月です。
今日、12月13日は「松迎え」をはじめとする、「正月事始め」の日というのをご存知でしょうか。
古くから、新しい年(歳神様)を迎えるための準備は、12月13日の「正月事始め」から始まり、12月28日までに終わらせるというのがならわしでした。
中でも12月13日の初日は、「松迎え」と言って、門松などのお正月飾りに使う松を、家の主か来年の年男が山に採りに行く日。
松迎えは、「歳神様を山からお迎えすること」を指している地域もあるのだとか。
「歳神様」というのは、お正月に家々を訪れる新年の神様のこと。一年の豊作や、家族の健康と幸福をもたらすと伝えられています。
そんなありがたい神様には、年明けとともに丁重にお招きして、ぜひゆっくりと心地よく滞在していただきたいものですよね。
門松は、歳神様が迷うことなく家にたどり着ける目印であり、邪気を退ける結界の役割も担っています。
そして、歳神様が宿る神聖な「依り代(よりしろ)」ともなるため、松飾りに使うための「松迎え」はいわば、大切な神様を家へお迎えするための一大プロジェクトの始まりとも言えるのではないでしょうか。
松竹梅の筆頭に挙げられる松は、一年中青々とした葉を落とすことのない常緑樹。
それゆえに「生命力の象徴」や「神様が宿る木」とも言われ、その名前からも神様を「待つ」という意味を持った神聖な樹木として、日本人に深く愛されてきました。
お正月はやはり、新しい一年の始まりを祝うとともに、その年の行方や運を定める重要な期間です。
現代では、年末のこの季節になれば、お店で手軽にお正月の松飾りを手に入れることができるようになりました。ですから、一般の人が山まで松を採りに行く、という本来の「松迎え」のならわし自体はほとんど行われなくなったことでしょう。
でも、せっかくならこの日に松飾りを選んで、来年の始まりを家族みんなで気持ちよく、笑顔で迎えられるように準備してみるのはいかがでしょうか。
やっぱり、家庭や家族の土台となる家は、きれいに整えて、気に入ったものをそろえて過ごすのが一番居心地が良いですよね。
それはきっと、神様も同じ。
日本人は昔から、自宅の身近な場所に神様をお迎えして、「神様とともに暮らす」ことを大切にしてきました。
神棚には氏神様をお祀りし、台所や玄関、お手洗いやお風呂などにも、それぞれの場所を守り豊かな恵みを与えてくださる神様たちをお祀りしてきたのです。
家を大切にする、日々の暮らしを大切にするということの本質が、こういった日本のならわしの中にはたくさん隠されていることがわかります。
めまぐるしい時代の流れとともに、どこかに置き忘れられつつある、日本人の文化と魂。
皆さんなりの「松迎え」とともに、来年への希望の明かりを、心に灯してみませんか?
そして、次の一年も豊かな心を持って、心地よくスタートを切りたいものです。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
