こんにちは。星空案内人の木原です。
暦の上では春。でも、宙では冬の星座たちがまだまだ元気に輝いています。宙を見上げていると体感は冬ですが、この時期だけに見られる、あの星を見つけると、ちゃんと季節が移ろいでいるな、と感じます。その星の名前はカノープス。今の時期に見頃を迎える星で、普段は見つけることが難しい珍しい星です。

カノープスはりゅうこつ座の一等星。宙にある全ての恒星の中で2番目に明るい白く輝く星です。ちなみに、一番明るい星はおおいぬ座のシリウス。シリウスは都会でもすぐ分かるほどとても明るい星です。そのシリウスを目印に地平線へ視線を下げていくとカノープスがあります。

ただ、日本では地平線ギリギリの非常に低い位置にあるため、なかなか見つからず、北緯約37.5度が観察の北限となります。それより南の地域になるほどカノープスは見つけやすくなり、中でもカノープスが1年で一番宙高く昇る時期がちょうど今です。一目でもその輝きを見ようと、星好き界隈は南の宙の低いところを気にしているのではないでしょうか。冬から春に移り変わる今がカノープス観賞の大事なタイミングです。

その珍しさから人気があるカノープスですが、一目見たら長寿になれると言われている縁起の良い星でもあります。カノープスは別名「南極老人星」と呼ばれています。
南極老人は日本の七福神と縁のある神様で、福禄寿と寿老人のモデルと言われています。福禄寿は長い頭と髭が特徴の幸福・財産・長寿の3つの幸福を具現化した神様。寿老人は不死の薬と長寿のシンボルとされる桃を携え、長寿と自然の調和のシンボルである牡鹿を連れている縁起の良い神様です。中国では、カノープスは南極老人の化身で、その姿が見えると天下泰平が訪れる予兆と考えられていました。

一方で、東京湾から遠州灘にかけての地域では「布良星(めらぼし)」という和名が残っています。2月の荒れた海で命を落とした漁師の魂がカノープスだと捉えていたようで、カノープスが見えると海が荒れると伝わっています。

なぜ、中国と日本でカノープスの捉え方が異なるかは謎ですが、水平線近くで輝くカノープスは大気の影響で本来の白色ではなく、赤みがかった色に見えます。その様子を昔の人がどう感じたのかによって伝承の違いが生まれたのかもしれません。
どちらにしても、当時の人にとって稀で特別な星であったカノープス。今の時期にしか見えないその輝きは今の私たちにとっても貴重なものです。
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