こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「水始涸(みずはじめてかるる)」についてのお話です。
いよいよ稲刈りの時期が訪れました。夏に花を咲かせたあと日に日に色づき、頭を垂れる金色の稲穂は、秋の深まりを教えてくれる季節の風物詩。
七十二候「水始涸(みずはじめてかるる)」は、水田に張られていた水を落とし、刈り入れの準備にとりかかる頃です。
種籾の用意からはじまり、収穫にいたるまでは約半年間。
その間、農家の方達はさまざまな困難を乗り越え、田んぼを守り続けてきました。自分の田んぼを持ったことのない私は、その苦労を共有することはできませんが、毎日いただいているご飯がどのように食卓まで届けられているのか、できるだけきちんと知っておきたいなと思います。
稲は刈り入れが終わると束ねて稲木にかけ、天日干しにします。先日京都でその光景を見ましたが、少し暗くなり始めた時間帯も相まって、厳かで神秘的な雰囲気を感じました。
稲刈りが終わったあとは、各地で恵みに感謝する収穫祭が行われます。
ここでひとつ、個人的に興味深い収穫祭をご紹介します。
それは、関東以北を中心に、旧暦10月10日に行われる「十日夜(とおかんや)」。
稲刈りが無事に終わり、田の神様が山に帰る日とされており、みんなでお餅をついたり、かかしを祀ったり、馬を労ったりして、秋の収穫をお祝いします。
面白いなぁと思ったのは、子どもたちが、藁(わら)で作った太い縄で地面を叩きながら、「とおかんやいいものだ、朝そばぎりに昼だんご、夕飯食ってひっぱたけ♪」と歌って歩き、大地の神様を励ますというもの。これには、農作物にいたずらをする、地面の下に潜むモグラを追い払う意味もあるのだとか。
確かに、わらの太い縄で頭上をばんばんされると怖くて逃げだしちゃいますね…。
十日夜の夜空に浮かぶ月は、十五夜(中秋の名月)、十三夜に並ぶ秋の月見のひとつといわれています。十五夜、十三夜、十日夜の3つで三月見(さんつきみ)なんて呼ばれたりもします。3つとも見ることができれば、縁起がいいそう。
十五夜、十三夜にくらべるとあまり知られていませんが、何だか日本らしい、忘れたくない大切な収穫祭だなあと思いました。
今年の旧暦10月10日は11月24日。まだ少し先の話ですが、天気がよければ、半月より少しぷくっとふくれた綺麗なお月様を見ることができると思います。その時は、今年の収穫に感謝する気持ちも忘れないようにしたいですね。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。
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