こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「乃東生」(なつかれくさしょうず)についてのお話です。
冬至を迎え、今年も残りわずかとなりました。
昨日はゆっくりと柚子湯を楽しまれた方も多いのではないでしょうか。
冬至は1年でいちばん昼が短く、夜が長いとき。この日を境に少しずつ日が伸び、やがて春の訪れが近づいてきます。とはいえ、寒さはここから極まっていきます。植物はそろって枯れてゆきますが、そんな中でも芽を出し始める植物があります。
冬至の初候である「乃東生」(なつかれくさしょうず)は、真冬にもかかわらずある植物が芽吹く力強い様子をあらわした七十二候です。「乃東」(なつかれくさ)とはあまり馴染みのない言葉ですが、これは「靫草」(うつぼぐさ)のこと。冬枯れの野の下、靫草だけが芽を出し始めます。
花の形が矢を入れる「靫」(うつぼ)に似ていることから、「うつぼぐさ」と名付けられました。シソ科の多年草である靫草は、日当たりのよい山野の草地に見られ、6〜8月頃に紫色の花をつけます。花穂の下の方から咲いていき、いちばん上の花が咲く頃には、下の花はもう枯れ始めています。夏の盛りにはすっかり枯れて黒ずみ、枯れゆくことから”なつかれくさ”といわれます。
夏至の頃にも「乃東枯」(なつかれくさかるる)という七十二候がありましたが、これは夏に向けて植物がいきいきと生い茂っていくときに、靫草だけが枯れていく様子を表現しています。
今回の「乃東生」(なつかれくさしょうず)とは対になる七十二候ですね。七十二候にはこのように対になるものが多く、見ているととても面白いです。
冬が深まるとともに風が冷たくなり、スマホには毎日不安になるニュースも飛び込んできます。でも、季節は少しずつですが着実に春に向け動き始めています。冬がやがて春になるように、悪いことも、きっと続かない。昔の人が冬至に一陽来復を願ったように、これからはいいことがやってくると信じたいと思います。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。
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