こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「乃東枯(なつかれくさかるる)」についてのお話です。
日に日に暑くなり、少しずつ夏の盛りへと近づく今日この頃。草木は緑をますます濃くし、花々は山野に美しい彩りを加えます。
あらゆる生命がいきいきと輝く頃。…そんな中、ひっそりと枯れゆく花があります。
その花は、ウツボグサ。
あまり聞き馴染みのない植物かもしれませんが、七十二候「乃東枯(なつかれくさかるる)」は、このウツボグサが枯れゆく頃という意味です。
「乃東」とはウツボグサの古名です。
ウツボグサは冬に芽を出し、5月〜7月頃に紫色の花を咲かせ、夏至のころに花穂(かすい)が黒ずみまるで枯れたように見えます。他の植物が夏の日差しを浴び、青々と繁っていく中ひっそりと枯れていく。昔の人はその様子に注目し、七十二候にその名前を残しました。
そんなウツボグサは、生薬としても利用されます。
花穂が黒ずみはじめたころ、花穂を採り乾燥させると「夏枯草(かごそう)」と呼ばれる生薬になります。煎じて飲むと利尿薬になり、腎炎や膀胱炎などに効果があるそうです。また、煎液には口内炎や扁桃炎などに効果があり、うがい薬にもなります。
英名はheal-all、all-heal。全てを癒すという意味です。ちなみにウツボグサの名前は、かつて武士が弓矢を入れ背中に背負った道具「靭(うつぼ)」に形が似ていることが由来だといわれています。七十二候のテーマになっている草花や動物は、どれも個性的で、紐解いていくといろいろなことがわかって面白いですね。
昔の人は、どうしてこの植物を七十二候にしようと思ったんだろう?
そんな風に昔の人の気持ちになって暦に触れてみるのもいいなと思いました。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。
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