こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「麋角解」(さわしかつのおつる)についてのお話です。
12月26日から30日までが、七十二候の「麋角解」(さわしかつのおつる)。
いよいよ年末です。今年1年を振り返る時期ですね。
今年は、未知のウイルスに翻弄されながらも、少しずつですが前を向いて歩めた1年だったと思います。みなさまはいかがでしょうか。
今日ご紹介する七十二候は、「麋角解」(さわしかつのおつる)。
麋角解は、雄のシカの角が取れ落ちる頃。枝分かれした大きく立派な角は、春に生え始め冬のこの時期に根元から自然に落ちます。
この「麋」は見慣れない漢字ですが、大型の鹿の一種、ヘラジカまたはオオジカのことだといわれています。
ヘラジカは、北米ではエルク、ムースと呼ばれ、ユーラシア大陸北部の針葉樹林に生息しています。日本ではもちろん、七十二候が作られた中国でも見られない動物が、なぜ七十二候のひとつに数えられているのでしょうか。
「シカの角が落ちる頃」と一言で説明できない、不思議な七十二候ですね。
クリスマスに活躍するトナカイとする説もあるようですが、調べた中では、「角がシカ、首がラクダ、蹄(ひずめ)がウシ、尾がロバに似ている」といわれる中国の珍獣、シフゾウ(四不像)であるとする説がいちばんしっくりくるのではないかと思います。
シフゾウというのは和名で、中国では「麋鹿(ミールー)」が正式名称です。
「麋」という字が入っていますね。中国にも生息しているニホンジカよりも大きく、角が落ちるのも冬至の頃とされています。
このシフゾウ、野生ではすでに絶滅しており、現在は動物園で飼育されている個体のみだそうです。国内の動物園でも見られるそうですが、まさに伝説の珍獣なのですね。
江戸時代、日本人はこの七十二候を見て、遠い大陸のまだ見ぬ動物に想いを馳せ楽しんだのかもしれません。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。
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