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手づくり二十四節気/処暑しょしょ

二十四節気と七十二候 2022.08.23

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処暑になりました。暑さがおさまってくる時季です。
が、まだまだ残暑は厳しいですね。

庭の草木もだいぶ疲れた様子。今年の夏は本当に暑かったですから。場所によってはかなり鬱蒼としているので、思い切って鎌と刈り込みばさみを使って枝や葉を刈り込むことに。適当な作業ながら、庭も思いのほかさっぱりしました。

飛び石のあたりもきれいになったので、そうだ、と思いついて関守石を置いてみることにしました。

関守石とは、ゴロタ石をシュロ縄で十字に縛ってつくるもの。庭に置いて、ここから先には入れません、という目印にします。関守石を置くことで、結界をつくるといえばいいでしょうか。茶室の庭によく使用されるものです。

熱心に庭園探訪をしていたころ、日本庭園でも関守石が置いてあるのを見ることがありました。
関守石が置いてある様子はどことなく風情があって、少し緊張感も醸していて、ちょっといいものです。

ずいぶん昔に作ったものはもうすっかりシュロ縄がボロボロになって、関守石の役目を果たしていません。さっそく庭からよさそうな石を選んで、新しいシュロ縄を使ってつくってみましょう。

久しぶりなので、古い造園の本を繙いて首っ引きで紐を結んでいきます。最後に四本の紐を結び合わせるところは難しいので、自分の好きなように仕上げてしまいました。紐先は、四本それぞれに結び目を作るのが本式のようですが、我が関守石はただのわっか仕上げ。自分の庭に置くので、自分のやり方で。

自作の関守石は、特に結界を作るというよりも、庭のデコレーションに使います。日によって置く場所を変えて、関守石のある庭の風情を味わえれば、と。

なかなかの出来上がりだったので、小さな石と細引き紐を使って、ミニチュア版の関守石も作ってみました。文鎮として机で使ってみようかと思います。石の色や形に合わせて、紐の色や材質を変えて作るのも面白そうです。

残暑の辛さも、あともう少しでしょうか。時折り夕暮れ時に吹く風が、涼しさを運んでくれることも。ツクツクボウシもそろそろ鳴き始めることでしょう。あの声を聞くと、ああ、もう夏ともお別れ、という気分になるものです。

名残の夏、やり残したことのないように、じっくりとお過ごしになってください。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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