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手づくり二十四節気/芒種ぼうしゅ

二十四節気と七十二候 2023.06.06

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梅シロップをつくる

芒種です。そろそろ梅雨入りという時節。実際にはもう梅雨入りしている地域もありますね。今は5月のうちに田植えを終わらせることが多いようですが、かつては芒種のこのころに田植えを始めていました。しっとり長雨の季節到来です。

梅の実が出回っています。最初は青梅、少しすると黄色く熟した梅が並び始めます。七十二候では、芒種の第三候が「梅子黄(うめのみきばむ)」。6月は、梅の季節。梅酒や梅干し、それぞれのお好みの梅レシピに、皆さんお忙しいかもしれません。特別な梅を毎年取り寄せて梅干しをつくっている熱心な友人もいます。

そんななか、当方はまず青梅で梅シロップを作ります。最も簡単なものですね。

三年前に、きれいな色の青梅を見つけました。緑色に赤色がさしていてきれいな実です。「パープルクィーン」という品種で、和歌山県のみで栽培されているそう。これを使って梅シロップをつくると、ルビー色の美しい色になります。シロップの香りもよくて、この季節になると必ず手に入れることにしています。さあ、今年もこれで梅シロップを熱烈作成いたしましょう。

梅シロップの材料は、梅と氷砂糖。これだけ。このシンプルさが、というか簡単さが気に入っています。カビの出やすい時季につくるので、唯一気をつけるのは、使う保存ビンを清潔にすること。ホワイトリカーを瓶の内側に満遍なく回します。ホワイトリカーはスプレーに入れておけば、蓋の部分にも吹き付けられて便利です。

保存ビンに漬ける前に梅を冷凍庫で凍らせると、早く出来上がるのでカビや発酵も避けやすいそう。凍らせることで梅の繊維を壊すので、エキスが出やすくなるというわけです。

出来上がりの目安は一週間。ときどきビンを揺らしたり、蓋を開けてガスを抜いたりしながら見守ります。少しずつ氷砂糖が溶けてきて、澄んだ梅シロップが上がってきます。これを眺めるのが、梅シロップをつくる醍醐味。ビンは、なるべく涼しく、光の当たらない場所におきます。

出来上がった梅シロップは、ワインの空き瓶などに移して冷蔵庫に。冷たい水や炭酸水で5倍に割って飲むと、梅の香りが甘くさわやかに広がります。お風呂上がりなどに最高で、我が家では夏の飲み物の筆頭株。また、バニラアイスにシロップをそのままかけても、香り高いデザートになります。

逆に、寒い季節には、お湯で割ってあったか梅ジュースもおすすめ。熱い紅茶にたっぷり入れてもまた別の味わいに。冬用に、小さな瓶にこの梅シロップを少し分けて、大事に取っておくのです。分けておかないと、夏も前半のうちにほぼ飲み切ってしまうので。

青梅のあとは、完熟梅の季節。梅干しや、梅ジャムづくりなどでまた忙しや。ウメウメ・ライフで充実した毎日を。こんなことしをていれば、梅雨の季節もあっという間に通り過ぎていくかしらん。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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