「明日天気に、てるてる坊主」
もう6月ですね。6月前半の二十四節気「芒種」は、芒(のぎ)のある稲や麦などの穀物を種播きする時季。芒とは、稲や麦などの種を包む殻に生えている、トゲのことです。
田植えも最盛期を迎え、農家はこれからますます忙しくなってきます。
雨の季節の到来でもありますね。
雑節の入梅は6月11日ころで、これから30~40日間が梅雨の時期。もちろん、実際の気象は暦の梅雨とは関係なく、梅雨入りも梅雨明けもその年によって異なりますが。
雨の季節はお日様の光が貴重です。梅雨の晴れ間は値千金。一年でいちばん心地よいのがこの天気だと、6月が来るたび毎年思っています。十分に育った草木の緑と、青い空がまことに美しい。もはや寒くはないし、まだ暑すぎることもない。最高に気持ちのいい晴天です。輝く太陽が、これほどありがたく思えることもなかなかありません。
シーツやマットなど、大物の洗濯にお布団干し、玄関先の掃除も念入りに。家の窓をすべて全開にして、部屋に風を通して空気を入れ替えます。
束の間の晴れの日には、なんと甲斐甲斐しく立ち働けることでしょう。
この梅雨の晴れ間のことを、「五月晴れ」といいます。旧暦では、五月が梅雨の時期だったのですね。で、五月晴れ。現代では、初夏のあの若葉がみずみずしい5月の晴れた日を、五月晴れと一般に呼んでいますが。もとは梅雨の晴れ間のことなのでした。
「この梅雨の晴れ間をどうしても明日に持ってきてほしい」というとき、てるてる坊主を作るのはいかがでしょう。おまじないだとしても、やらないよりはやったほうがいい。まんまと晴天をものにできれば占めたものではないですか。
さらし布と綿と紐を用意して、さっそく作ってみます。顔を描くのは、ここはちょっと頑張って、墨を濃いめにすりましょうか。心を込めて目を入れれば、不思議と魂が入った顔になります。
さあ、これで軒下にぶら下げて、あとは一心に祈るのみ。
「明日お天気になりますように」
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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