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手づくり二十四節気/小寒しょうかん

二十四節気と七十二候 2024.01.06

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まゆ玉飾りをつくる

新しい年になりました。お正月はいかがお過ごしでしたか? 松がとれるとあっという間に寒の入りです。寒さが厳しくなるこの季節、空気が澄んで清々しく感じられる時でもありますね。

さて、お正月も一段落すると、次にやってくるのが小正月。小正月は15日で、その前の14日は左義長、いわゆるどんど焼きです。お正月の門松やしめ飾り、書き初めなどを持ち寄って、組んだ櫓(やぐら)にくべる火焚きの祭。この火に当たると今年一年風邪をひかないのだそう。それはありがたい。また、焼いた書き初めの灰が高く上がると、書の上達が望めるとも。

櫓が炎に包まれて勢いよく燃えるのを眺めていると飽きません。こっちのお飾りが燃えてきたぞ、あちらの門松は火の勢いがいい、など、ワクワクします。てっぺんのだるまさんに火がつくと、どんど焼きもいよいよ大団円。次第に高かった櫓も小さくなって、いつの間にか燃え尽きて地面の高さに。

立ち上がる炎がおさまって、いい熾火になりました。さあお待ちかね、お団子を焼くときです。このお団子を「餅玉」、あるいは、お蚕さんのまゆに見立てて「まゆ玉」といいます。ミズキの枝や、ヤナギの枝を使うことが多いようです。

せっかくですから、自分でお団子をつくってどんど焼きに持っていくのはどうでしょうか。上新粉と砂糖とぬるま湯を混ぜてこねてから、蒸します。蒸したあとにもう一度よくこねて、丸めたらミズキなどの枝に刺してできあがり。お餅の半分に食紅や赤い梅酢で色をつけると、紅白の繭玉になって華やかな雰囲気に。お好みなら、草色や黄色など、色とりどりに染めてもよさそうです。これを持って、いざどんど焼きの会場へ! 

どんど焼きの火で焼いたお団子を食べると、無病息災でいられるとも言います。これは張り切って食べないと。

このまゆ玉は、小正月のお飾りにも使います。細い枝に、もっと小さく餅玉をつけても愛らしくなりそう。小正月は、三が日の大正月とちがってお飾りはみな部屋の中にします。まゆ玉は地域によって形が様々あるようです。その土地の作物に似せて形づくるので、丸いだけでなく、本当にお蚕さんのまゆの形になったり、粟の穂のように長細くしたり、柿の形に作るものもあるようです。

火焚きの左義長に、おうちの中で静かに祝う小正月。これが終わると、ようやくお正月も本当に終わったな、と正気に戻れる感じです。さあ、今年もいい日常を始めますか。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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