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左義長さぎちょう

暦とならわし 2021.01.15

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おはようございます、こんにちは。エッセイストの藤田華子です。
つい先日「あけましておめでとう」の挨拶を口にしたと思ったのに、もう年が明けてから半月が経ってしまい驚きました。

元日を中心とする7日までの松の内を「大正月」と呼ぶのに対し、15日前後には「小正月(こしょうがつ)」という呼び名があります。旧暦ではこの日が新年最初の満月の日にあたり、「これをもってお正月は終わりですよ!」という日なんだとか。ということで、お正月ボケは今日まではセーフなのかもしれません。

私の地元の栃木では、この小正月付近に「どんど焼き」という行事が開かれていました。
「どんど焼き…?」もしかしたら、ピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。調べてみたら、日本全都道府県で実施されている「どんど焼き」には、「左義長(さぎちょう)」「道祖神祭」「鬼火たき」など、現在確認できているだけで30種以上もの呼び方があるそう。ちなみに「どんど焼き」という独特な名前の由来は諸説あり、「どんどん燃えるから」「青竹がはぜて『どんっ』と音がするから」「『尊と(とうと)尊と(とうと)』とはやし立てていたのがなまり、後にどんど焼きとなった」などなど。

もともとは、先ほど挙げた「左義長」が平安時代の宮中行事だったことがルーツです。1月15日の夜に、青竹を束ね毬杖(ぎっちょう)3本を結び、その上に短冊や扇子などを添え、正月飾りや御札などを炊き上げていたそう。陰陽師が謳いはやしながら焼いていたーー想像するだけでも厳かな空気が伝わってきます。

それが一般に広まり「どんど焼き」となりました。いまは近隣住民が、わらや青竹、檜の枝などでやぐらを作り、門松やしめ縄など縁起物を一緒に燃やします。寒空の下、天に届くほどの勢いで燃える神聖な火。地域の人々の1年間の災いを払い、豊作や商売繁盛、家内安全、無病息災、子孫繁栄を願うために執り行われてきました。
子どもながら夏祭りとは違う荘厳な空気を感じ、親の手をぎゅっと握ったことを覚えています。

そして印象に残っているのが、ピンク、緑、白のお餅を刺した枝「トンボ団子」。こちらも地域によって形が変わるようですが、鏡開きをした餅やみかん、お団子などを刺し、焼いて食べると風邪をひかない、1年を健康で過ごせるという意味が込められていました。

そのほか地域によってさまざまな言い伝えがあり、
・「どんどの火で高く舞い上がれば習字が上達する」と書初めを一緒に燃やす
・「どんど焼きの灰を家の周囲に撒くと魔除けになる」と、灰を撒く
など、その土地その土地のやり方でこの行事が親しまれてきたことがわかります。

一年の無病息災を祈る行事、今年はいつもよりもその願いが強くなる気がします。みなさまも、みなさまの大切な方々も、どうかお元気でお過ごしください。

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藤田華子

ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。

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