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二十四節気と暮らしの道具/夏至げし

二十四節気と七十二候 2024.06.21

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夏至 6月21日~7月5日 五月中〈陽熱至極し、また日の長きのいたりなるを以てなり『暦便覧』〉

提灯で短夜を憩う

一年の中でいちばん昼の時間が長い夏至。ということは、最も夜が短いということでもありますね。夏至は、ほぼ梅雨の真っ最中。梅雨の晴れ間の気持ちよさは格別ですが、さすがに長雨に倦んでくるころです。

そんな時節ですから、ちょっと気分を変えたい。部屋の中に、あるいは外に、提灯を吊るしてみるのはいかがでしょう。メインの照明はそのままに、サブライトとして、小さな提灯をともすだけでも、部屋の雰囲気が変わります。光の様子は空気感を支配する力があるのかも。

ほんの短か夜。メインの照明を消したら、この提灯ライトだけをつけて夏至の夜を過ごします。自分だけの小さな夏至イベント。お気に入りの音楽を聴くもよし、気分が乗ったら音楽に合わせて踊ってみる?

家の外に提灯を吊るして過ごすのもまたご機嫌です。このごろは、太陽光を集める小さなバッテリーを装備した提灯もあります。これは昼間のうちにエネルルギーを溜めておいて、暗くなると自動で点灯する仕組み。庭の提灯が点灯したら、ちょっと外に出て夏至の夜を過ごします。

草木の葉に囲まれた夜の庭は、また昼間とは違った雰囲気です。昼間は光合成をしていた植物たちが、動物と同じように呼吸をしています。そんな植物に、明るい時間とは別の生命力を感じるのは気のせいでしょうか。提灯のほんのりした明かりに、不思議につややかに、生き生きとして見えます。

提灯の明かりは、四方八方を照らす全方位タイプ。そこが懐中電灯とは違ういいところです。上から吊るせば周り全体が明るくなるし、歩くときにも自分の前に持てば、これから歩く場所と、自分の足元の両方を明るくしてくれます。使わない時はたたんで平べったくコンパクトに。なんて便利な明かりでしょう。

今年の夏至は、提灯をぜひ。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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