こんにちは、こんばんは。
くりたまきです。
照りつける太陽、白い入道雲、濃い木漏れ日。そんな夏本番に金魚を見かけると涼やかさを感じ、水中で揺れるひれの優雅さに、思わず見入ってしまいます。夏の風物詩、金魚。じつは「金運を高める」または「赤い色が病魔を遠ざける」とされ、縁起のよいものとしても好まれてきました。

金魚が中国から日本に入ってきたのは16世紀初頭、室町時代のこと。はじめは高価なこともあり一部の富裕層の贅沢な趣味でしたが、18世紀、江戸時代後期になると庶民のあいだでも金魚は人気を得ます。
街にはタライに金魚を入れて売り歩く金魚売りもいました。買った金魚は「金魚玉」と呼ばれる小ぶりなガラスの金魚鉢に入れて、軒に吊るしたりして楽しんでいたようです。ガラスがまた、夏には涼やかさを演出してくれますよね。この金魚玉は、浮世絵に描かれていたり、実物が残っていたりするのですが、なんとも可愛らしいです。現代では金魚すくいをしたあと、ビニール袋に入れてもらいますが、ガラスのほうが風情を感じさせます。

ところで、金魚の鑑賞方法には上見(うわみ)と横見(よこみ)があるってご存じですか?
甕(かめ)や鉢に入れて上から見るのと、ガラスの水槽に入れて横から見るのと、金魚のシルエットの美しさがまた違って見えてくるため、鑑賞方法にもこだわりがありました。金魚の品種によっても、上と横どちらから見るのが美しいのか異なっているのだそうです。

18世紀後半には、金魚のかたちを模した「金魚本多」という髪型が武家の若者や富豪の子息のあいだで流行しました。そのくらい、金魚は日本で人気だったのですね。
日本人の金魚愛、思った以上に深いのだなあと感心してしまいました。
とくにわたしが心惹かれたのが、浮世絵師・歌川国芳の描いた連作「金魚づくし」です。国宝として広く知られている鳥獣戯画ではうさぎやカエルが擬人化されていますが、この作品で歌川国芳は金魚を擬人化しています。
集まった金魚たちが三味線を弾いたり踊ったりしている姿を描いたもの、イカダに乗って漕ぐ姿を描いたもの……どれもかわいくておもしろい作品ばかりです。
わたしは毎日のお世話を考えると、なかなか金魚を買うのは難しいなあと思うのですが、金魚の描かれた作品のポストカードを飾って涼を取りたいです。

夏には金魚をモチーフにしたものをよく見かけます。うちわや手ぬぐい、最近だとピアスなどのアクセサリーも種類がさまざま。暑さを吹き飛ばすお守りに、みなさんも取り入れてみせんか?

栗田真希
ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。
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