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呼吸

旬のもの 2021.10.22

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皆さん、息してますか?

呼吸は吸って吐いて、大気中の酸素を取り入れて、二酸化炭素を吐き出すこと。なんとなくそんな感じで覚えている方も多いと思います。人は呼吸をすることで酸素を取り入れ、その酸素と反応した栄養素がエネルギーを放出しています。その結果、二酸化炭素が生み出されるので、それを身体の外に出しています。そのための重要な臓器が肺です。

中医学でも呼吸は肺によってコントロールされています。
肺は呼吸を通し、清気(せいき/外の空気)を取り入れ、そして人体にとって必要不可欠なエネルギーである、『気』を生み出し、かつ、その気を体内で巡らせています。
肺が弱ってしまうと、悲しみや憂いが強くなり、呼吸が浅くなり、声に力がなくなり、身体に力がみなぎらなくなってしまいます。

肺によって外気から作られた気は、人体各部、主に上部にある様々な器官にエネルギーや栄養を与えています。視覚、聴覚、嗅覚、発声が正常に働くためには、この肺の作用と気が欠かせません。肺が気をつくる力が弱ってしまうと、めまい、鼻詰まり、鼻の乾燥、耳鳴り、難聴などといった症状になって現れます。

また、呼吸による吸う→吐くといった一連の運動は、全身の気を動かす原動力となっています。吸うことできれいな空気をとりいれ、気を作り出し、吐くことで汚れた気を排出します。そして、呼吸という連続動作によって、気を全身に巡らせているのです。

気が巡っていないと、各部にエネルギーや栄養が届かず、風邪をひきやすくなったり、汗が出やすくなったり、皮膚がカサカサになったりします。また、寒気や冷えなども、呼吸が弱ってしまったことによる症状の一つと考えられています。

しっかりとした呼吸があり、そしてその呼吸から気を生み出し、動かす肺が正常に働けることが、心身ともに元気である基本になるわけです。

呼吸はまた、精神を安定させる作用もあると考えられています。
古代中国から続く健身術の気功。その気功の根本が呼吸です。気功は体内で気を増幅させることで、健康な心身を得ようとしますが、その気を増幅させる鍛錬法の一つに『調息』(ちょうそく)という呼吸方法があります。調息によって精神は安定し、気が充実し、心身が壮健になるとされています。

調息を始めるには、まず静かで落ち着けて、空気がきれいな場所を選びます。専門書を見ると、体に良い植物(松、柏、ガジュマル、もみの木、茶の木、椿、ぶどう、ねむの木、みかん、月桂樹など)があり、海岸や川、滝など流水がある場所が良いとされていますが、日常的には難しいかもしれませんので、静かで落ち着ける場所で良いでしょう。

精神を落ち着けるには、活動を司る『陽気』よりも、鎮静を司る『陰気』を養うことが大切ですので、陰気が生じ始める時間とされる、午の刻(11時から13時)に行うのが理想的です。これも必ずしもこの時間というのは難しいかもしれませんので、ご自身の生活習慣の中でリラックスできる時間帯を選んでください。

静かな環境に落ち着いたら、姿勢を整え、気持ちが落ち着くまでまちます。姿勢の整え方も足をくんで座る『坐式』(ざしき)、身体を横にする『臥式』(がしき)、立ったまま行う『站式』(たんしき)などがありますので、興味がある方は調べてみてください。環境と姿勢が整ったら、ゆっくりと呼吸をはじめます。

呼吸はまず、しっかりと空気を吐き出すことから始めます。口から細く長くゆっくりと、そしてしっかり吐き出しましょう。吐ききったら、鼻から吸った空気が背骨を通り、骨盤内にじんわりと広がり満たしていく様をイメージしながら呼吸を繰り返しましょう。吸った空気は再度、ゆっくりと口から細く長く吐き出します。空気を吸う際に、肩が上がらない様に注意しましょう。この呼吸は、「意識しつつ、かつ、自然に続く呼吸」を目指してください。

初期段階では、息を吐くと同時に腹部が収縮し、息を吸うときに腹部が隆起しますが、最終的には、呼吸をしてもほとんど腹部の起伏が見られず、臍部で呼吸している用に見える状態が良いとされています。古人はこれを胎児の呼吸の様という意味で「胎息(たいそく)」と呼びました。ただし、この域まで達するには相当な鍛錬が必要ですので、あまり気にせず腹式呼吸をしましょう。

呼吸は始め、浅く短く多いものですが、徐々に深く長く少ないものに変化していきます。ただ無理にはしないように、徐々に徐々に深めていきましょう。

呼吸を調えることで、精神が安定し、身体がエネルギーに満ち溢れ、様々な外的刺激にも強くなることでしょう。日に5分でもいいので、この調息の時間をつくることをおすすめします。

呼吸は大気からエネルギーを体内に取り込み、そのエネルギーを体内に巡らせる大切な行為です。吐き出す息とともに汚れた気も吐き出しています。何かに集中している時は呼吸が止まりやすく、そうすると必要なものが足りず、不要なものが溜まってしまい、精神的にも肉体的にも十分な力を発揮できません。呼吸をお忘れなく。

日々の呼吸を意識することで身体と心を元気に保てます。なにか不調を感じたときや緊張、不安を感じるときは、穏やかで、ゆったりとした呼吸を意識し、集中しているときも、適時、深呼吸して気を循環させましょう。

こちらの記事もご参考いただけると嬉しいです。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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