” ささの葉 さ〜らさら♫ “
ではじまる歌といえば、「たなばたさま」ですね。さらさら揺れる笹の葉に、短冊やお飾りをつけて願いを込める。彦星と織姫が天の川を渡って1年に1度再会できるロマンチックな日、それが七夕です。
七夕といえば7月7日の行事ですが、一部の地域では1ヶ月遅れの8月の時期に七夕まつりが行われるところも多くあります。

もともと七夕は月の動きをもとにした旧暦(太陰太陽暦)7月7日の行事でしたが、明治時代の改暦により、新暦(太陽暦)の7月7日に行うのが一般的となりました。そのため現在の暦と当時の暦でズレがあり、正しくは現在の8月中旬前後のお盆時期の行事として催されていました。
お盆は、この世に帰ってくるご先祖さまを供養する行事であるとともに、夏の盛りにあたり疲れが出やすいときでもあります。暑さゆえにお供物も腐りやすく、抵抗力の弱い人がお腹を壊すことで命を落としやすい時期でもありました。
そこで、冒頭の歌にある「笹の葉」が登場します。

笹の葉には抗菌作用があるため、昔からご先祖さまのお供物の下に敷いたり、巻いたりと防腐剤代わりに使われてきたといいます。
さらに、昔は七夕の日に笹の葉にお供物をのせて、健康長寿の祈りを込めて川に流す習慣もありました。力強く成長する筍(=笹)の姿から、笹の葉は「命の象徴」として、あるいは「魔除け」の意味もあり、七夕には欠かせないものとして重宝されるようになりました。

こうして歴史をたどっていくと七夕は、彦星と織姫の物語だけではなく、お盆の時期に合わせて人々の祈りが込められた行事であることがわかりますね。
この記事を書きながら、私は幼いころに笹の葉で舟をつくって川に流していたことをぼんやり思い出しました。当時はなんのためにやっているのか、あまりよく分かっていなかったと思うのですが、「この葉っぱはどこまで流れていくのだろう」と思いをめぐらせてワクワクしていたように思います。友だちとそれぞれの舟を川に浮かべて、誰が一番早く流れるかを競いあったりもしました。
また、彦星と織姫のことも自分ごとのように気になっていました。夜空に星のかたまりを見つけては、2人が再会しているだろうことを信じて、よろこびの気持ちをめぐらせていたように思います。

あの世から帰ってくるご先祖さまへ感謝の気持ちと、彦星と織姫の再会。そして、私たちの健康を願って。
今年はさらさら揺れる笹の葉とともに、8月の七夕を楽しみたいと思います。

高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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