まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ日が長くなり、梅の花も咲きはじめ、春の足音は確実に近づいています。
毎年この時期になると思い出すのは、「河津桜」です。
え?この時期に桜..?と思う方も多いと思いますが、河津桜は一般的なサクラの品種ソメイヨシノに比べて2月上旬頃に開花しはじめる早咲き桜のひとつです。
河津桜はもともと静岡県の河津町で発見されました。
1955年頃に河津町に住む飯田勝美さんという方が河津川沿いの雑草の中でさくらの苗を見つけ、現在地に植えたことがきっかけだったそうです。約10年後に開花がみられ、少しずつ注目されるようになりました。
現在では、伊豆地方の温暖な気候も手伝って2月上旬頃から咲きはじめます。毎年行われている「河津桜まつり」はたくさんの花見客で賑わう、全国的にも有名なイベントです。
河津桜の一番の特徴は、「長く咲く」ことと「花びらの変化」です。
パッと咲いてパッと散ってしまうソメイヨシノとは違い、河津桜は約1ヶ月に渡って咲き続けます。また、つぼみや咲きはじめは濃いピンク色をしていますが、満開時にはピンク色、そのあとはだんだんと色褪せていくので、見頃は五~六分咲き頃だと言われています。
こんなに寒い時期に長くお花見を楽しめるなんて、なんだか得した気分になりますね。
また河津桜は、静岡県だけではなく、神奈川、千葉、東京などでも楽しめます。私が住む関西でも咲くスポットはいくつかあるそうですが、関東と比べて開花の時期は少しズレるようです。
私のなかで河津桜といえば、両親にプレゼントした「日帰り旅のチケット」を思い出します。
あれはたしか、社会人2年目のときだったと思います。当時は少しだけ背伸びをして、両親の誕生日に河津桜の観賞チケット(ホテルのランチ付)をプレゼントをしたことがありました。
私が記憶する限り、両親はずーっと仕事や家事に追われていたので「2人で出かける(=デートする)」なんて、おそらく初めてのことでした。
日帰り旅の当日、自分が行くわけではないのになんだかずっとソワソワして..。
ホームページで河津桜の開花状況をチェックしながら、今頃ここらへんにいるのかなぁなんて想像していました。
夕方、ホクホク顔で両親が帰宅したとき、ホッとしたことを今でもはっきり覚えています。現地で撮った河津桜の写真を見せてもらいながら道中の思い出話を聞き、私まで一緒に旅をしたような気分になりました。
それから今でも河津桜の開花を知るたびに、当時のことをぼんやりと思い出します。
春を待ち侘びる時期だからこそ、出会える景色や深まる思い出があるのかもしれない。
今年もそれぞれの場所でそれぞれに、河津桜を楽しめますように。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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