しっかり寝たのになんだか疲れがとれない。天気は良いのにやる気が全然おきないし気力も湧かない。夕飯を食べたあとに気づいたら気を失うように寝てしまっている。布団に入ったらまどろむ記憶もなく寝てしまう。
そんな症状はありませんか?
これらはエネルギーが不足した、「気虚」(ききょ)という状態と中医学では考えます。気虚では、元気がない、気力がない、疲れやすいといった症状の他、口数が少ない、息ぎれする、横になりたがる、日中によく眠くなる、汗っかきでカゼを引きやすい、食欲がない、軟便や下痢、ため息が多いなどもよく見られます。気虚状態の人は、特に朝起きにくく、午前中はぼんやりしていることも多くなります。
気とは、体を動かし、温め、外敵から身を守るなどの働きを持ったエネルギーのことを指します。目には見えませんが、重力や磁力、電力と同じように“働きを持つエネルギー”のことです。
この気は、呼吸により大気から取り入れられるものと(疲れを感じるときにあくびや深呼吸などをすると若干回復するのはそのためです)、飲食物から脾(胃腸系)によって作られるものがあります。
脾は飲食物からエネルギーである気の元になる“水穀の精微”というものを取り出します。そこから一部を気にかえています。ちなみに残りは血(けつ)になります。脾は西洋医学が指す脾臓とは必ずしも一致しないのでご注意ください。
五行色体表(表1)をみたことはありますか?
中医学のなかでは、自然界を構成する5つの要素「木火土金水」がお互いに助け合ったり抑制したりすること(表2)でバランスを取っていると考えます。この表では、季節や体の機能、食材などが当てはめられ、その時々に気をつけるべきこと、摂るほうがよいものがわかります。
脾は五臓の一つで、“土”に属します。土を中医学では、“すべてが生まれる土台”として考えます。良い土がないとその他の五行である木も火も水も金も生まれません。これは体も同じで、脾の状態がよくないと気血水が十分に作り出されず、体も心も弱っていまします。
脾は土に属し、湿に弱く、暑さや湿気が残る季節である“長夏”に負担がかかりやすく、甘い味や黄色いものを好むとされています。食べ物を消化吸収し、全身にエネルギーである気や栄養である血を送るのが脾の役割なので、脾が弱ると体のすべてが弱ってしまうことが想像つくと思います。
では、脾を元気に保つにはどのようなものを口にするべきでしょうか。食べ物と関連するのは黄色と甘味です。脾は黄色い食材や、甘いものを好みます。黄色い食材は、さつまいも、じゃがいも、かぼちゃ、大豆、黄色いパプリカ、とうもろこしやヤングコーン、柿、栗、卵黄、銀杏などがありますので、季節に合ったものを食べてくださいませ。
甘味は、砂糖など味の甘味だけでなく、甘味が持つ性質である、“疲労回復作用や胃腸の緊張を和らげる作用”を持つものも指しますので、アボガド、アジ、鰯、枝豆、米、えのき、しいたけ、きくらげ、タラ、海老、マグロも“甘味”に属します。黄色い食材に加えてこれらも適宜摂りましょう。
気は脾が元気であれば飲食物から作り出せます。気が不足すると文字通り気力がなくなり、元気がなくなります。それに加えて、肌がたるみ、毛穴がひらいてシワのもとになり、ハリや弾力の無い肌にもなります。体力、気力だけでなく、見た目にも元気がなくなってしまうので、脾を元気にする黄色い食材を積極的にとってくださいね。
櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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