五月病ではないけれど
なんとなく本調子じゃない漬物男子の田中友規です。
春から初夏の訪れを感じる気温に変わり、
街を歩いていてもじわりと汗ばむようになってきました。
先日、大阪で古民家を改装したカレーとサウナの店を始めたのですが、
その準備に追われてちょっとお疲れ気味。
なにか”酸味”がほしい・・・
こういう時はふと身体が求めているものを摂りたくなるもので、その声に従うのが吉。
ふと頭に浮かんだのは、梅干しでした。
幸い、冷蔵庫には去年仕込んだ梅干しがまだたくさんあって、
疲労回復に、と一粒取り出して口に放り込みました。
去年仕込んだ梅干しはちょっと塩加減が強すぎて、しょっぱいし、酸っぱい。
疲れた身体にはこれくらい強烈なのもアリ!と、ぎゅうっと口を窄めて味わっていましたが
梅干しの刺激に触発されてパッとはちみつと合わせるのはどうだろう、とひらめきました。
昨今は、すっぱい梅干しではなくフルーティーにしあげた甘いはちみつ漬の梅干しも人気です。食べやすくてお茶うけにもちょうどいい。
少し湯で溶いたはちみつを容器に流し入れ、梅干しをつけておくだけで
ふわりと甘い香りを纏ったやさしいはちみつ梅の出来上がりです。
仕事中にちょいと摘むのもよいですが、
またふとアイデアを思いつき、デスクに向かわずキッチンへ。
梅干しをフライパンでじんわり焦がして味を濃縮。
スプーン一杯のはちみつを少量のお湯で溶かし、焼いた梅干しを加えます。
そこに氷水と、仕上げにレモンを絞り完成。
特にこれというレシピはないのですが、
頭に浮かんだ、身体が欲している飲み物が目の前に出来上がりました。
集中したいときにちょうどいい。きゅっと表情が引き締まる気がします。
梅干しの塩味と酸味、はちみつの甘さ、レモンの爽やかな香りが混じり合い
パズルのピースがぱちっとはまったような、足りないものが満たされた感覚。
ソーダで割ってもいいし、ほうじ茶や番茶でも渋みがよく合います。
調べてみると、梅干しは焼くことによって、脂肪燃焼成分のバニリンが増え、またムメフラールという成分が新陳代謝を促進する効果もあるそう。はちみつは言わずもがな、天然の栄養素の宝庫ですから、身体の声に間違いはありませんでした。
体調が戻るまでしばらくお世話になったはちみつ梅。
そろそろ梅仕事の季節がやってきますが、今年はもう”はちみつ梅”を仕込むことに。
はちみつ焼き梅レモンジュース、汗かく季節にはもう手放せない相棒となりました。
田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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