今日のお話は「ユウガオ(夕顔)」です。
名前の由来は、夏の夕暮れに白い花を咲かせ翌朝には萎むことからきています。名前の響きから、蒸し暑い日本の夏に、サラサラと吹く涼風のような優しさを感じます。
透き通るような花びらと清楚な白さが合わさったユウガオの花は、「源氏物語」「枕草子」をはじめ、詩歌、絵画の題材にされてきました。昔から、日本人はユウガオの花を愛でていたことが伺えます。

ユウガオはウリ科の植物で、「干瓢(かんぴょう)」の原料になっています。

干瓢の始まりは、諸説ありますが、大阪府の木津(現在の難波付近)が発祥とされ、滋賀県の水口へと伝わりました。水口城主鳥居忠英が、壬生藩(現在の栃木県)に国替えになったのを機に、江戸時代から栃木県で栽培が盛んに行われるようになりました。
今や栃木県は、国産干瓢の約98%を生産する一大産地になり、300年の歴史があります。
ユウガオの形には主に2種類あり、干瓢に使われるものは丸い「丸夕顔」です。もう一つは、長い形の「長夕顔」で、冬瓜料理のように煮物、汁物で食べられています。

春に種を蒔き、7月に花を咲かせます。花が萎れた後、約3週間ほどで実が大きく成長し、7月下旬から8月に収穫期を迎えます。
干瓢作りは、収穫した丸夕顔の実をりんごの皮剥きのように機械を使って、クルクル細長く剥いたものを約2日間、天日干しにします。

干瓢には、無漂白と漂白されたものがあります。無漂白のものは自然な甘さが特徴で、漂白されたものは真っ白で見た目が美しいのが特徴です。昆布巻きや巾着袋の結び紐として、料理に上品さを演出してくれます。
干瓢はカルシウム、カリウム、鉄分などが豊富で、腸内環境を良くする食物繊維も含まれています。夏バテ防止、健康な体づくりのためにもご自宅で干瓢を使った料理を作ってみてはいかがでしょう。
初めて作られる方は、干瓢の袋に簡潔でわかりやすい下茹での手順が記載してありますので参考にしてください。
下茹でした干瓢を約20cmほどに切り、鍋に出汁、ザラメ、醤油、味醂、酒を入れて、落とし蓋をして煮ると、巻き寿司やかんぴょう巻きでお馴染みの「干瓢の甘辛煮」の完成です。
食べやすい大きさに切って容器に入れて冷蔵保存で常備しておくと、夏の食卓の箸休めにぴったりのおかずになります。

おすすめは、下茹でした干瓢を焼肉と一緒に召し上がってください。また焼肉のタレと絡めながら軽く炒めると、たっぷり食べられます。子供から大人までよろこぶ食材だと思いますので、よかったら作ってみてください!


川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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