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ゲリラ豪雨

旬のもの 2023.07.27

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
夏は、カンカン照りの晴天から一転して、急に暗くなり、大雨や雷などに見舞われることが多くなります。だいたい夕方ごろに雨が降ることが多いので、このような現象は夕立と呼ばれてきたのですが、近年は雨の降り方が激しく、「ゲリラ豪雨」という言葉で呼ばれることが多いように感じます。

実は、ゲリラ豪雨がなぜ「ゲリラ」なのかというと、あまりに急に降りだすからです。これには理由があります。ゲリラ豪雨はひとつの積乱雲によってもたらされることが多いのですが、積乱雲の大きさは直径数km~十数kmで、寿命も30分~1時間程度と短いのが特徴です。こういった、局所的で寿命の短い現象を予測するのは、今の天気予報の技術ではとても難しいのです。

とはいえ、天気予報ではゲリラ豪雨が発生しそうなときに使う「匂わせワード」があります。それは「大気の状態が不安定」という言葉です。これは、ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲が発生しやすい状況だということを示しています。なお、「ゲリラ豪雨」という言葉は気象庁の正式な気象用語ではないため、天気予報では「急な大雨や落雷、突風などに注意」というようなフレーズによってゲリラ豪雨の到来を示唆しています。

もし、朝の天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉を耳にしたら、その日は空模様を注意深く観察しましょう。どんなに晴れていても、そのうちモクモクとした入道雲が発生し始めるはずです。これが黄色信号です。

もっと雲が発達すると、空が暗くなり、遠くでゴロゴロという音がしたり、ひんやりとした風が吹いてきたりします。こうなったら赤信号なので、すぐに屋内や車の中に避難することをお勧めします。スマートフォンの天気予報アプリで雨雲レーダーを見て、雨雲がどのあたりにあり、自分の居場所に近づいてきているかどうかをチェックしておくことも大雨を避けるのに役立ちます。

ゲリラ豪雨は川の急な増水や内水氾濫をもたらすことがあります。内水氾濫とは、大雨が急に降ることによって下水や排水溝などで水をさばききれなくなり、道路や土地などを水浸しにしてしまうことです。路面が冠水した状態で外を歩くと、マンホールや排水溝に転落する恐れがあるうえ、汚水の中の細菌が傷口などから体内に入り込んで感染症を引き起こすこともあり、非常に危険です。

低い場所も注意が必要です。地下街は屋内で一見安全そうに見えますが、低い場所にあるので浸水しやすいのです。また、車道がもぐりこむ形で立体交差するアンダーパスでは水がたまりやすくなるのですが、ここに車が突っ込むと、車が動かなくなってしまいます。しかも水圧でドアや窓ガラスが開かなくなって車内の人が脱出できず、溺れてしまうこともあります。大雨が降ったらアンダーパスは迂回して避けるようにしましょう。

ゲリラ豪雨は急な川の増水ももたらします。川べりを歩いたり、川で水遊びできたりするような都市部の小さな小川で急な増水が起こり、人が流されてしまう事故も起こります。雨が降ったら橋の下で雨宿りするのではなく、川からなるべく離れるようにしましょう。川では自分のいる場所だけでなく、上流で大雨が降っても増水が起こるので、ゲリラ豪雨が発生しそうなときはなるべく近寄らないようにしたほうが安全です。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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