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扇風機せんぷうき

旬のもの 2023.07.29

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おはようございます、こんにちは、編集者の藤田華子です。
うだるような暑さが続きますが、いかがお過ごしですか?

今日のテーマは、夏といえばの「扇風機」です。
最近は酷暑に対抗するためクーラーを使用して室温を下げることが主流ですが、どうしても冷たい空気は足元にたまってしまいます。そんな室内の空気を循環させるために用いたり、ちょっと涼しい日には窓を開けてフレッシュな空気を取り込んだりすることができるのが、扇風機のいいところ。

子どもの頃、扇風機の前で「あ゙ーーーー!」と声を震わせて遊ぶのが楽しく、今も人目を盗んでやってしまいたくなる衝動に駆られます。

あの頃から不思議なのは、扇風機の後ろ側では風を感じないこと。単純に考えると、後ろからグングン空気を取り込んで前に送り出しているように思えますよね。
調べてみると、扇風機は壁を背にして配置されることを考慮して作られたデザインで、機体の横の空気を取り込んで前に発散させる設計だという説もあれば、後ろからはゆっくり広く風を吸い込んでいるから風を感じにくいという説も(電機メーカーさん、合っていますか?笑)
シンプルな作りのようで奥が深い。これもまた、扇風機が長年愛される理由のひとつなのだろうなと思います。

江戸時代には、いくつかのうちわを固定して、手動のハンドルで回転させる扇風機もどきが作られていたそう。世界初の電気扇風機は19世紀後半にアメリカで作られたという記録が残っています。その頃は高級品でまだ日本の一般家庭には普及していなかったのですが、1900年代初頭から各電機メーカーが販売に参入し、どんどん国産扇風機が量産され始め、レンタル制度を経て、あっという間に家庭にも普及していったんだとか。

かの文豪・夏目漱石の大正元年8月の日記にも、「塩原行」と題してこのような記載があります。

九時三十分の急行。赤坊(帽)に聞くと大分中等が込みあひさうなので上等にのる。寝台六人前(上を併せて十二人分)の列車にたゞ一人なり。煽風器が頭の上で鳴る。

「扇風機が頭の上で鳴る」ーーすっかり夏の風物詩として登場していますね。

最近では、手持ちのハンディファンを片手に街を歩く人も増えました。時代に合わせて形を変えながらも、私たちが夏を乗り切るための強い味方として活躍しています。扇風機の風を感じる際、少しだけノスタルジックな気持ちになってしまいそうです。

それでは、この夏もみなさんにとって楽しいものになりますように。ご自愛してお過ごしください。

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藤田華子

ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。

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