今日のお話は「かぶ」です。
原産地はヨーロッパや西アジア地域で、8世紀頃に中国や朝鮮半島を経て日本に伝わったそうです。「古事記」や「日本書紀」に持統天皇や奈良時代の朝廷から栽培を奨励されたことが記されています。
江戸時代頃になると全国各地に広まり、地域の気候や風土に合った「伝統かぶ」が作られるようになりました。現在も約80種類ほどあります。
その中から江戸東京野菜の「金町(かなまち)こかぶ」をご紹介したいと思います。
金町こかぶは、明治末期頃に東京の葛飾区金町(現在の東金町)で品種改良されました。また地元のかぶとフランスの種が自然交配して生まれたという説もあります。
冬の寒さで甘みが増し、暖かくなる春でも花芽が出にくく早採れできるため、葉物が少ない時期に重宝されました。青物市場で高値で取り引きされるようになり金町地区で栽培が盛んになり、やがて全国に金町こかぶが広まっていき、品種改良が行われていきました。
現在、最も流通している小かぶは、この金町こかぶ系の品種です。関東、東北、北海道を中心に一年中出荷していますが、旬は晩秋から冬の間で、きめ細かい肉質でやわらかく甘いです。
新鮮なかぶは、葉っぱが生き生きしていて、かぶ本体も真っ白で艶々。輝いているようで、見惚れてしまうほどの美しさです。
買った後はすぐに葉っぱを切り落として、水分と共にうまみも葉に吸われてしまわないようにします。
簡単な小かぶの料理をご紹介します。良かったら作ってみてください。
かぶは皮を剥かずに使います。
薄くスライスしたかぶと少量の葉と塩揉みした後、ジップロックに入れて白だしを少し入れて漬けます。
手で絞って柚子の皮をのせて即席漬け。
かぶおろしはザルにあげて水分を切った後、手で絞って丸めます。搾り汁は汁物料理に使えます。
細かく刻んだ葉で胡麻油、刻み生姜、じゃこで炒めて、醤油、みりん、酒で味付けしてふりかけに。
バター、にんにく、牛肉で炒めて、醤油で味付けして、粉チーズとフライドオニオンをかけて洋風ふりかけに。
かぶをくし切りにして、オリーブオイルで両面を6分焼いて、マヨネーズと味噌をかけます。
炒めた玉ねぎと鶏肉と約10分煮て、塩胡椒とミルクを加えてひと煮立ちすると温かいスープに。
最後に、日本一小さく高級食材のかぶをご紹介します。「芽かぶ」と言い、ハウスと路地栽培で一年中出荷しています。種は金町こかぶ系統です。羽子板の羽根の形を表して、お祝いの膳にお吸い物に使われます。
日本人の繊細な心や文化を感じさせる日本料理です。
写真提供:川口屋薫
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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