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花曇りはなぐもり

旬のもの 2024.04.02

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
桜前線が日本列島を北進中の今日この頃。皆さんはお花見をされましたか?

お花見は、暖かい晴れた日の下でするのが一番気持ちがいいですよね。でも、桜が咲いている時期は必ずといっていいほど天気が崩れて曇ったり雨が降ったりします。特に桜の時期の曇り空のことを「花曇り」といいます。

この時期は「花曇り」のほかにも、「花冷え」「寒の戻り」など、春のポカポカ陽気で浮かれたくなる気持ちに水を差すような言葉がたくさんあります。それもそのはず、この季節の天気はコロコロ変わるからです。

春は、移動性高気圧と温帯低気圧が偏西風に乗って日本列島を通過していきます。高気圧のもとでは晴れ、低気圧のもとでは天気が崩れます。高気圧に覆われているときはうららかな陽気となりますが、低気圧が通過するのに伴って曇りや雨になりますし、気温の上下も激しくなります。

花曇りとなるのは、まさに低気圧が近づきつつある状態です。特に低気圧の中の温暖前線が近づくときの空は、巻雲(筋雲)が次第に空全体に広がって巻層雲(薄雲)となります。このとき、太陽や月のまわりには暈(かさ)と呼ばれる丸い光の環が出ます。さらに温暖前線が近づくと、その雲が分厚くなります。

それが高層雲(おぼろ雲)で、今度は暈(かさ)は出ず、太陽や月は雲越しにぼんやりと見えます。そして高層雲はさらに分厚くなり、やがて雨が降り出すのです。「女心と秋の空」とはよくいったものですが、それは何も秋だけではなく、春も同様です。春と秋に移動性高気圧と低気圧が訪れるからです。

そんなわけで、春は天気がコロコロと変わりますし、花見の季節には必ずといっていいほど曇りや雨の日があります。曇り空のもとでの桜もそれはそれで風情がありますが、凍えながらの花見はつらいもの。ポカポカ陽気ではない日は、どうかしっかりと暖かい格好をして花をめでてほしいと思います。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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