今日のお話は、雪溶けの後に芽をだす山菜「行者にんにく」です。
名前の由来は、山中に籠もっていた行者(修行僧)が荒行に耐えるため強壮として食べていたことからきているそうで、にんにくのような強烈な匂いが特徴です。この独特の匂い成分である硫化アリルには、殺菌力が含まれており、疲労回復効果に役立つビタミンB1の吸収を助け、癌、動脈硬化や脳梗塞などの血栓症予防効果が期待されているそうです。
天然の行者にんにくは主に北海道や東北で、山の斜面の土が湿った場所に群生しています。4月頃から行者にんにく採りが始まり、お店にも並びます。私は北海道に出張した際に、地元産の天然行者にんにくを見たことがあります。ゆらゆらと踊っているような葉と、細くしっかりとした茎から新鮮さを感じました。地元の方はジンギスカン、卵とじ、醤油漬け、おひたし、生を味噌につけて食べるそうです。
4月から5月にかけて北海道へ旅行されることがあれば、ぜひ天然の行者にんにく料理を満喫してみてください。
また、ハウス栽培や露地栽培もあり、全国のお店に並ぶ頻度も増えてきました。
手のひらサイズの小さなパックに入っていますが、優しい価格ではない理由の一つとして、行者にんにくの成長にはとても時間がかかることがあげられます。種を植えてから収穫まで長くて8年かかります。
苗を育てるのに3、4年、株を育てるのに4、5年かかることもあります。
私が働いていた市場に山形県庄内の人達が来られた時に、ハウス栽培でも株から収穫まで4年かかることを教えてもらいました。私は小さな野菜なので1年ほどで収穫できるイメージを持っていたので、とても驚いた記憶があります。
近年、行者にんにくと韮(ニラ)を掛け合わせた「行者菜」という野菜も登場しました。行者にんにくの風味を感じさせてくれますし、比較的優しい価格ですのでお店で見かけたら、ぜひ味わってみてください。
今日は、簡単な食べ方をご紹介します。
1つめは、ブルスケッタです。行者にんにくを1分茹でたものとミニトマトを食べやすい大きさに切って、ちぎったバジルの葉、オリーブオイルと塩で味付けして、バゲットの上にのせたら完成です。
2つめは、帆立貝のグリル焼きです。同様に茹でた行者にんにくを1時間醤油漬けします。白ワイン、塩胡椒、オリーブオイル(またはバター)をのせて焼きます。最後にレモンの搾り汁をかけてください。
行者にんにくを料理すると、強烈な匂いは消えて、上品なまろやかなにんにくの風味になります。帆立貝以外でしたら、蛸、海老などのアヒージョで作ってみてください!
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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