こんにちは。気象予報士の今井明子です。
春はポカポカ陽気のイメージが強いですが、雨もよく降ります。
春に降る雨は「春雨」とも呼ばれます。雨に濡れた花びらはみずみずしく、「恵みの雨だな」と思わせてくれます。
この季節の雨の原因は、主に二つあります。
ひとつは、偏西風に乗って西から東へと通過する低気圧によるものです。低気圧に伴う雨は、せいぜい1日程度で上がって、また晴天が戻ります。ときにはこの低気圧は爆弾低気圧と呼ばれるほど急激に発達して、強い風や雨をもたらすこともあります。とにかく目まぐるしい印象の雨です。
そしてもうひとつは、「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ばれるような、グズグズとした雨の日が数日続く降り方です。こちらは、冬の高気圧と初夏の高気圧との境目にできる停滞前線によるものです。前線付近に雲ができ、その雲があまり動かないので、梅雨のように雨の期間が長いのです。春雨はこちらの菜種梅雨のことを指すようです。
春のポカポカ陽気はウキウキしますが、春に強い風が吹くと砂ぼこりが巻き上げられて目を開けているのがつらくなりますし、空もかすんで頭もなんとなくぼんやりしてきます。そんな状態の後に、春雨が降ると、空気中に舞っていたあれやこれやが雨と一緒に下に落ちて、すっきりと落ち着いた気持ちになるのは私だけでしょうか。土もしっとりと濡れて、あらたな芽吹きの準備も整います。まさに恵みの雨、穀雨ですね。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
