新緑の季節、清々しい陽気が続きますね。
七十二候は「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」を迎えました。種籾が芽吹き、いよいよ田植えの準備がはじまります。田んぼには一面に水が張られ、生き物たちも活発に動き出し、生命が満ち溢れる頃です。
藤やツツジ、蓮華なども見頃を迎え、スーパーでは夏野菜も少しずつ並びはじめます。大型連休も近づき、ソワソワしている人も多いことでしょう。
暑くもなく寒くもなく、心地良い季節に行われることが多い催しが、今日のテーマ「遠足」です。
遠足とは、おもに学校行事の一つで校外へ出かける日帰りの小旅行のこと。「校外授業」ともいいます。
先生が引率する中でいつもとは異なる、「遠い」場所へ自分の「足」を使って行くこと。
場所はおもに公園や山などの自然、動物園や水族館などのレジャー施設など学校によって様々です。
遠足のはじまりについては諸説ありますが、江戸時代に寺子屋で花見や遊山程度のものはあったといわれています。教育的な意義を認めて学校で実施されるようになったのは明治時代以降。小学校及び中学校の学習指導要領の「特別活動編」において「遠足・集団宿泊的行事」として定められ、学校行事として定着してきました。
さてみなさんには、遠足の思い出はありますか?
興奮して前日は眠れなかった...なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。私もまさにそうでした。しおりを何度も読みながら水筒や帽子、お弁当にお菓子、レジャーシートにタオルなど忘れ物がないかチェックすることに余念がなかったように思います。
「遠足のおやつは300円まで」
私が幼い頃は、決まり文句のように遠足とセットでこの言葉がついてきました。
首からぶらさげた小さなポシェットに300円を入れて、友だちと待ち合わせて、駄菓子屋さんへお菓子を買いにいった記憶があります。
所狭しとお菓子が並ぶ空間に目を輝かせながら、「10円...30円...」とブツブツ計算しながらカゴに入れていきます。ラムネにチョコ、おせんべいにガムなど好きなものを好きなだけ、予算の範囲で選ぶことはなんだか大人へ近づくようでうれしかったのです。
300円ぴったりに選び終わり、店主さんにカゴを預けると「もう10円分選べるよ。あと10円分はおまけにするから選んでね」なんてよくいわれました。やったーと声を漏らしながらさらに選んで渡すと「はい、300万円ね!」といわれて店内に笑いが起こります。この駄菓子屋さんは破格の値段とおまけをつけてくれることで有名な人気店でした。そんなやり取りもほっこりとおもしろくて、遠足以外のときも通い詰めていました。
遠足が近づくとしおりを読みながら、楽しみな気持ちに耽っていたことも昨日のことのように思い出します。
手作りのしおりには、当日の工程や約束事が書かれていて、校長先生や担任の先生からのメッセージもありました。遠足が終わってもボロボロになるまで取っておいたような気がします。
いま振り返ると遠足当日より、準備する時間が一番楽しかったのかもしれませんね。
300円分のおやつと手作りしおり、ワクワクな気持ちをたっぷり詰め込んで。
大人になっても遠足気分を忘れずに、お出かけを満喫し続けたいなぁと思います。
【参考文献】
新村 出『広辞苑 第三版』 岩波書店(1983年)
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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